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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

座標変換でドップラー効果の公式を導いてみる : 音源が動く場合

ガリレイ変換を用いて音のドップラー効果 (Doppler effect) の公式を導いてみます(目次)。 今回は音源のみが動いて、観測者は静止している場合を考えます。

音源が静止している場合

まずは準備として、位相 { \theta(x,\,t) } が音速にどのように依存しているかを考えます。 音速を { V } とすると { kV = \omega } が成り立つので、位相 { \theta(x,\,t) }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \theta(x,\,t)
        &= kx - \omega t \\
        &= \frac{\omega}{V}x - \omega t 
\end{align*}
}

となります。

音源が運動している場合

観測者 (observer) が静止していて、音源 (source) が速度*1 { v_s } で動いている状況を考えます。

図では右方向を { x } 軸の正の方向とし、{ v_s,\,V } を正としてます。 { V } は音速。

音源が静止している座標系では
音源が静止している座標系では波数(波長)や角振動数は発した音のものそのままですが、音速が { V - v_s } のように変化します*2

このとき { \theta(x,\,t) }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \theta(x,\,t) = \frac{\omega}{V-v_s}x - \omega t
\end{align*}
}

となります。

観測者が静止している座標系へ座標変換する
次に音源が静止している座標系から、観測者が静止している座標系へ座標変換します。 観測者が静止している座標系は ' を付けて { (x',\,t') } としましょう。 変換はガリレイ変換ですが、運動している方向に注意:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \begin{cases}
        x &\longrightarrow\quad x' = x + v_s t \\
        t &\longrightarrow\quad t' = t
     \end{cases}
\end{align*}
}

これを逆に解くと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \begin{cases} x = x' - v_s t' \\ t = t' \end{cases}
\end{align*}
}

となります。 よって、この変換を { \theta(x,\,t) } に施すと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \theta(x,\,t)
        &= \frac{\omega}{V - v_s}\left(x' - v_s t' \right)  - \omega t' \\
        &= \frac{\omega}{V - v_s}x' - \left(1 + \frac{v_s}{V - v_s}\right)\omega t' \\
        &= \frac{\omega}{V - v_s} x' - \frac{V}{V - v_s}\omega t'
\end{align*}
}

これが { \theta'(x',\,t') = k'x' - \omega't' } に等しくなる(位相が共変)として

  { \displaystyle
\begin{align*}
    k' &= \dfrac{\omega}{V - v_s} , &
    \omega' &= \dfrac{V}{V - v_s}\omega
\end{align*}
}

を得ます。 ただし、{ k',\,\omega' } は観測者が静止している座標系での波数と角振動数、つまり観測者が観測する波数と角振動数です。

波長と振動数の変換
上記の波数と角振動数の変換式から、波長と振動数の変換式を導くと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \lambda' &= \frac{2\pi}{k'} = 2\pi\frac{V - v_s}{\omega} = \frac{V - v_s}{V}\lambda = \frac{V-v_s}{V}\lambda \\
    \nu' &= \frac{\omega'}{2\pi} = \frac{V}{V - v_s}\frac{\omega}{2\pi} = \frac{V}{V - v_s}\nu
\end{align*}
}

となります。 まとめると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \lambda' &= \frac{V-v_s}{V}\lambda,&
    \nu' &= \frac{V}{V - v_s}\nu
\end{align*}
}

*1:{ v_s } が負の場合は x 軸の負の方向へ進む、という意味で向きも考えます。 音速 { V } も同じ。

*2:これは { x } 軸の負の方向に風が吹いている(大気、つまり音波の媒体が流れている)のと同じ効果になります。