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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

Green 関数の方法

{ x } の関数 { y(x) } に対して、次の非斉次の線形微分方程式

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]y(x) &= af(x) & \cdots (*)
\end{align*}
}

を考えます。 ここで

  • { D[\tfrac{\partial}{\partial x}] }微分を含み、{ y(x) } に作用する線形演算子
  • { a } は定数
  • { f(x) } は任意の関数

です。 { a } は入れないことも多いですが、物理学では右辺に負符号を入れる場合があるので、少し一般化して { a } を導入しています。 以下で、こういう類の微分方程式を解く際に用いられる Green (グリーン)関数の方法を見ていきます。

Green 関数の定義

Green 関数は以下の非斉次微分方程式を満たす関数 { G(x) } として定義されます:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]G(x) &= a\delta(x) & \cdots (1)
\end{align*}
}

右辺が Diracディラック)のデルタ関数になっています。 この Green 関数を用いて、(*) 式の特殊解は

  { \displaystyle
\begin{align*}
    y(x) = \int_{\bf R} G(x-x')f(x') dx'
\end{align*}
}

で与えられます。 積分範囲は { -\infty } から { \infty } です(以下同様)。 実際、この { y(x) }微分演算子を作用させると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]y(x)
        &= D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]\int_{\bf R} G(x-x')f(x') dx' \\
        &= \int_{\bf R} \left\{D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]G(x-x')\right\} f(x') dx' \\
        &= a \int_{\bf R} \delta(x-x') f(x')dx' \\
        &= af(x)
\end{align*}
}

となり、(*) 式を満たすことが分かります。 ちなみに

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]G(x-x') = a\delta(x-x')
\end{align*}
}

を使ってます。

Fourier 変換で Green 関数を求める

(1) 式を満たす Green 関数 { G(x) } は、よく Fourier (フーリエ)変換を用いて解かれます。 ここではある程度一般的に Fourier 変換を用いた解法を見ていきましょう。 まず { G(x) } を Fourier 積分で書きます:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    G(x) &= \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{\bf R} \tilde{G}(k)\,e^{ikx}dk & \cdots(2)
\end{align*}
}

この { G(x) }微分演算子 { D } を作用させると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]G(x)
        &= D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]\left\{\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{\bf R} \tilde{G}(k)\,e^{ikx}dk\right\} \\
        &= \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{\bf R} \tilde{G}(k)\left\{D\left[\tfrac{\partial}{\partial x}\right]e^{ikx}\right\}dk \\
       &= \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{\bf R} D\left[ik\right] \tilde{G}(k)\,e^{ikx}dk
\end{align*}
}

最後の行の { D[ik] } は線形演算子ではなく、単なる { ik }多項式です。 また、デルタ関数を Fourier 積分で書くと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \delta(x) &= \frac{1}{2\pi} \int_{\bf R} e^{ikx}dk
\end{align*}
}

となるので、結局、Green 関数が満たすべき微分方程式 (1) は

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{\bf R} D\left[ik\right] \tilde{G}(k)\,e^{ikx}dk
        = \frac{a}{2\pi} \int_{\bf R} e^{ik'x}dk'
\end{align*}
}

となります。 ここで、両辺に { e^{-ik''x} } をかけて { x } について積分し、直交関係

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{1}{2\pi}\int_{\bf R} e^{i(k-\ell)x}dx = \delta(k-\ell)
\end{align*}
}

を使うと( { k'' } を改めて { k } と置き換えて)

  { \displaystyle
\begin{align*}
    &\sqrt{2\pi} D\left[ik\right]\tilde{G}(k) = a \\
    \therefore \;& \tilde{G}(k) = \frac{a}{\sqrt{2\pi} D\left[ik\right]}
\end{align*}
}

を得ます。 この結果を (2) 式に代入すると、{ G(x) } は以下のような Fourier 積分で表されることが分かります:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    G(x) = \frac{a}{2\pi}\int_{\bf R} \frac{e^{ikx}}{D\left[ik\right]}dk
\end{align*}
}

具体例

あまりキチンとは解きませんが、少し具体的な例を見てみましょう。 電荷分布 { \rho(\textbf{x}) } が与えられたときに静電ポテンシャル { \phi(\textbf{x}) } が満たすべき方程式は、以下のような Poisson (ポアソン)方程式

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \triangle \phi({\bf x}) = -\frac{\rho({\bf x})}{\varepsilon_0}
\end{align*}
}

で与えられます。 ここでは3次元だとして上記の理論(1次元でしたが、適当に次元を上げて)との対応関係を考えると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    y({\bf x}) &= \phi({\bf x}) \\
    f({\bf x})  &= \rho({\bf x}) \\
    D\left[\tfrac{\partial}{\partial {\bf x}}\right]
        &= \frac{\partial^2}{\partial x_1^2} + \frac{\partial^2}{\partial x_2^2} + \frac{\partial^2}{\partial x_3^2} \\
    a &= -1
\end{align*}
}

のようになります。 { \varepsilon_0 }{ a } に含めずに、Green 関数から静電ポテンシャルを計算する際に入れる慣習です。 このとき

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D\left[i{\bf k}\right]
       & = (ik_1)^2 + (ik_2)^2 + (ik_3)^2 \\
       &= -{\bf k}^2
\end{align*}
}

となるので、この Poisson 方程式の Green 関数 { G(\textbf{x}) }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    G({\bf x}) = \frac{1}{(2\pi)^3}\int_{{\bf R}^3} \frac{e^{i{\bf k}\cdot {\bf x}}}{{\bf k}^2}d^3{\bf k}
\end{align*}
}

で与えられます。 この積分はさらに計算する必要がありますが、それは後日に。 この Green 関数を用いて、電荷分布 { \rho(\textbf{x}) } が与えられたときの静電ポテンシャル { \phi(\textbf{x}) }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \phi({\bf x}) = \frac{1}{\varepsilon_0}\int_{{\bf R}^3} G({\bf x} - {\bf x}')\rho({\bf x}')d^3{\bf x}
\end{align*}
}

と計算されます。