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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

1粒子系でのニュートンの運動方程式

ニュートン力学 1粒子系 古典力学

古典力学のいろいろな系で運動方程式を解いていくシリーズ(目次)。 今回は1粒子系でのニュートン(Newton)の運動方程式とその性質を見ていきましょう。

1粒子系(一体系)でのニュートン運動方程式

  { \displaystyle\begin{align*}
    m\frac{d^2 \textbf{r}}{dt^2} = \textbf{F}
\end{align*}}

で表されます。 ただし

  • { t } : 時間
  • { m } : 質点の質量
  • { \textbf{r} } : 質点の位置*1
  • { \textbf{F} } : 質点に加わる力

です。 位置 { \textbf{r} } の時間 { t } に関する2回微分はその粒子に働いている加速度 (acceleration) なので、この運動方程式は「粒子の加速度は、その粒子に加わる力に比例する」という法則になります。 その比例定数を(慣性)質量 (inertial mass)と呼びます。

ある量の時間微分を文字の上のドット(点)で表すと、運動方程式

  { \displaystyle\begin{align*}
    m\ddot{\textbf{r}} = \textbf{F}
\end{align*}}

とも書けます。 一般に { \textbf{F} }{ \textbf{r} } とその時間微分、そして時間 { t } の関数となります:

  { \displaystyle\begin{align*}
    m\ddot{\textbf{r}} = \textbf{F}(\textbf{r},\,\dot{\textbf{r}},\,t)
\end{align*}}

微分方程式の1階化

2階の微分方程式である運動方程式は、位置 { \textbf{r} } の時間微分である速度 { \textbf{v} } を導入して1階の微分方程式系にすると便利な場合があります。

  { \displaystyle\begin{align*}
    \dot{\textbf{r}} &= \textbf{v}, &
    \dot{\textbf{v}} &= \frac{\textbf{F}}{m}
\end{align*}}

保存量・保存則

ニュートン運動方程式に従って運動する質点には、いくつかの保存量があります:

  • エネルギー (energy) : { E }
  • 運動量 (momentum) { \textbf{p} }
  • 角運動量 (angular momentum) : { \textbf{L} }

これらの量が保存するためには条件があるので注意(下記参照)。 運動量、角運動量は1粒子の質点ではあまり面白くありませんが、一応書いておきます。

エネルギーの保存
速度の関数として運動エネルギー (kinetic energy) { T(\textbf{v}) }

  { \displaystyle\begin{align*}
    T(\textbf{v}) = \tfrac{1}{2}m\textbf{v}^2
\end{align*}}

で定義すると、その時間微分

  { \displaystyle\begin{align*}
    \dot{T}
        = \frac{dT}{d\textbf{v}}\cdot\dot{\textbf{v}}
        = m\textbf{v}\cdot\dot{\textbf{v}}
        = \textbf{F}\cdot\textbf{v}
\end{align*}}

となります。 両辺を { t = t_0 } から { t_1 } まで積分すると(それぞれの時刻での位置を { \textbf{r}_0,\,\textbf{r}_1 }、速度を { \textbf{v}_0 ,\,\textbf{v}_1 } として)

  { \displaystyle\begin{align*}
    T(\textbf{v}_1) - T(\textbf{v}_0)
        &= \int_{t_0}^{t_1}\textbf{F}\cdot\textbf{v}dt
        = \int_{\textbf{r}_0}^{\textbf{r}_1}\textbf{F}\cdot d\textbf{r} & \cdots (*)
\end{align*}}

ただし { d\textbf{r} } は位置の変位ベクトルで、3次元の場合

  { \displaystyle\begin{align*}
    d\textbf{r} = \begin{pmatrix}dx \\ dy \\ dz \end{pmatrix}
\end{align*}}

です。 (*) 式の最右辺を「位置 { \textbf{r}_0 } から { \textbf{r}_1 } の間に加えられた仕事」と定義すると、(*) 式は「運動エネルギーの変化は、その間に加えられた仕事に等しい」となります。

特に力 { \textbf{F} } が、あるスカラー関数 { U(\textbf{r}) } を用いて

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{F} = -\nabla U
\end{align*}}

と書かれる場合(こういう力を保存力と呼ぶ)、(*) 式の最右辺は

  { \displaystyle\begin{align*}
    \int_{\textbf{r}_0}^{\textbf{r}_1}\textbf{F}\cdot d\textbf{r}
        = \Big[-U(\textbf{r})\Big]_{\textbf{r}_0}^{\textbf{r}_1}
        = -U(\textbf{r}_1) + U(\textbf{r}_0)
\end{align*}}

となり、(*) 式自体から

  { \displaystyle\begin{align*}
    T(\textbf{v}_1) + U(\textbf{r}_1) &= T(\textbf{v}_0) + U(\textbf{r}_0) & \cdots(**)
\end{align*}}

を得ます。 { U(\textbf{r}) } を位置 { \textbf{r} } における位置エネルギー (potential energy)、運動エネルギーと位置エネルギーの和を力学的エネルギー (mechanical energy) と定義すると、(**) 式は「力学的エネルギーは保存する」と言えます。

運動量の保存
運動量 { \textbf{p} }

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{p} = m\textbf{v}
\end{align*}}

で定義すると、その時間微分

  { \displaystyle\begin{align*}
    \dot{\textbf{p}} = m\dot{\textbf{v}} = \textbf{F}
\end{align*}}

となります。 両辺を { t = t_0 } から { t_1 } まで積分すると(それぞれの時刻での運動量を { \textbf{p}_0,\,\textbf{p}_1 } として)

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{p}_1 - \textbf{p}_0 = \int_{t_0}^{t_1}\textbf{F}dt
\end{align*}}

を得ます。 この式の右辺を { t = t_0 } から { t_1 } までに加えられた力積と定義すると、「運動量の変化は、その間に加えられた力積に等しい」となります。 特に、力が加えられなければ運動量は保存します。

角運動量の保存
3次元の場合、角運動量 { \textbf{L} }

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{L} = \textbf{r}\times\textbf{p} = m\textbf{r}\times\textbf{v}
\end{align*}}

で定義すると、その時間微分

  { \displaystyle\begin{align*}
    \dot{\textbf{L}}
        &= m\frac{d}{dt}\left(\textbf{r}\times\textbf{v}\right)
        = m\textbf{v}\times\textbf{v} + m\textbf{r}\times\dot{\textbf{v}} \\[2mm]
        &= \textbf{r}\times\textbf{F}
\end{align*}}

となります。 運動量と同じように両辺を時間で積分すると(それぞれの時刻での角運動量{ \textbf{L}_0,\,\textbf{L}_1 } として)

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{L}_1 - \textbf{L}_0 = \int_{t_0}^{t_1}\textbf{r}\times\textbf{F}dt
\end{align*}}

トルク { \textbf{N} }

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{N} = \textbf{r}\times\textbf{F}
\end{align*}}

で定義すると

  { \displaystyle\begin{align*}
    \textbf{L}_1 - \textbf{L}_0 = \int_{t_0}^{t_1}\textbf{N}dt
\end{align*}}

を得ます。 質点に加えられたトルクが0ならば、角運動量は保存します。

参考文献

*1:以降、ベクトル量は太字で表します。