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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

3次元の点と平面の距離の公式を導く ~ちょっと解析学使っちゃうよ編~

前回、ガリガリと計算して3次元での点と平面の距離の公式を導きましたが、まぁ、数学界でいうエレファントな解法って感じでした。 今回はちょっと高校数学の範囲をはみ出した解法をやってみます(目次)。 まぁ、ちょっと偏微分使うだけで、結局は力ずくなんですけどね。

問題設定

今回は、以前のベクトルを用いた導出とは異なり、点から平面に下ろした垂線の長さが(最小)距離を与えるという前提は置きません。 ということで、問題設定は「3次元空間において、原点と平面 { ax + by + cz + d = 0 } との距離

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}
\end{align*}
}

を拘束条件

  { \displaystyle
\begin{align*}
    ax + by + cz + d = 0
\end{align*}
}

のもとで最小化する」となります。 拘束条件のある場合の極値問題はラグランジュの未定乗数法 (method of Lagrange multiplier) を使うのが定石ですが、それは次回に。 今回は拘束条件を使って変数を1つ消去して、通常の拘束条件がない極値問題として解きます。

また、距離として平方根が入っている式は計算が面倒になるので

  { \displaystyle
\begin{align*}
    c^2(x^2 + y^2 + z^2)
\end{align*}
}

から拘束条件によって z を消去した以下の関数の極値を考えることにします:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    f(x,\,y)
        &= c^2 (x^2 + y^2 + z^2) \\
        &= c^2x^2 + c^2y^2 +c^2z^2 \\
        &= c^2x^2 + c^2y^2 + (ax + by + d)^2 \\
        &= (a^2 + c^2)x^2 + 2abxy + (b^2 + c^2)y^2 + 2adx + 2bdy + d^2
\end{align*}
}

{ f(x,\,y) } の定義を改めて書くと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    f(x,\,y) = (a^2 + c^2)x^2 + 2abxy + (b^2 + c^2)y^2 + 2adx + 2bdy + d^2
\end{align*}
}

です。 { x,\,y } を変数としてこれを最小化します。

極値をとる座標

まず、{ f(x,\,y) }極値をとる { x,\,y } の値を求めましょう。 { f(x,\,y) }{ x,\,y } それぞれで微分して

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{\partial f}{\partial x} &= 2(a^2 + c^2)x + 2aby + 2ad \\
    \frac{\partial f}{\partial y} &= 2abx + 2(b^2 + c^2)y + 2bd
\end{align*}
}

よって、x, y 方向に同時に極値をとるのは、以下の連立方程式

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \begin{cases} (a^2 + c^2)x + aby + ad &= 0 \\
    abx + (b^2 + c^2)y + bd &= 0 \end{cases}
\end{align*}
}

を解けば求まります。 これを解くと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    x &= - \frac{ad}{a^2 + b^2 + c^2} &
    y &= - \frac{bd}{a^2 + b^2 + c^2}
\end{align*}
}

を得ます。 ちなみに

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{\partial^2 f}{\partial x^2} &= 2(a^2 + c^2) > 0 &
    \frac{\partial^2 f}{\partial y^2} &= 2(b^2 + c^2) > 0
\end{align*}
}

より、{ x,\,y } どちらの方向にも極小値(かつ最小値)をとることが分かります。

{ z } の値と距離

上記のとき、{ z } の値は拘束条件より

  { \displaystyle
\begin{align*}
    z = - \frac{cd}{a^2 + b^2 + c^2}
\end{align*}
}

このとき、

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}
        &= \sqrt{\frac{(a^2 + b^2 + c^2)d^2}{(a^2 + b^2 + c^2)^2}} \\
        &= \frac{\left|d\right|}{\sqrt{a^2 + b^2 + c^2}}
\end{align*}
}

となって、原点と平面との距離を与える公式が得られました。

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