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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

正四面体の計量

幾何学 高校数学 3次元

目的は正十二面体、正二十面体の体積を求めることなんですが、ちょっと準備運動として正四面体、正六面体(立方体)、正八面体の体積等を求めていきす。

一辺の長さを  { a } とし、以下のように頂点に名前を付けておきます。

f:id:waman:20150920104029p:plainf:id:waman:20150920104038p:plain

M は辺CD の中点です。 AM, BM の長さは

  { \displaystyle \textrm{AM} = \textrm{BM} = a \sin \frac{\pi}{3} = \frac{\sqrt{3}}{2}a }

です。  { \varphi } は隣り合う2つの面のなす角で、後で求めます。

幾何学的対象の個数等

面の数  { f } 4
辺の数  { e } 6
頂点の数  { v } 4
面の形状(正  { m } 角形) 正三角形 ( { m = 3 })
1つの頂点に集まる面の個数  { p } 3
双対パートナー 正四面体(自己双対)

オイラーの関係式は

  { \displaystyle f - e + v = 4 - 6 + 4 = 2 }

となって確かに成り立ってますね。

正多面体で面の数  { f }、面の形状(正  { m } 角形)、1つの頂点に集まる面の個数  { p } が分かっているとき、辺の数  { e } と頂点の数  { v } は(簡単な組み合わせの計算から)

  { \displaystyle e = \frac{mf}{2},\qquad v = \frac{mf}{p} }

で与えられます。 今の場合に実際に確かめてみると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  e &= \frac{3 \cdot 4}{2} = 6 \\
  v &= \frac{3 \cdot 4}{3} = 4
\end{align*}
}

となり、成り立っています。

隣り合う2つの面のなす角  { \varphi }

△ABM に余弦定理を適用して

  { \displaystyle
\begin{align*}
  \cos \varphi
    &= \frac{\left(\frac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2 - a^2}{2\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}a \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}a}
    = \frac{\frac{1}{2}a^2}{\frac{3}{2}a^2} \\
    &= \frac{1}{3}
\end{align*}
}

これは約70°です。

表面積  { S }

正多角形の面積」で正三角形の面積を辺の長さで表した表式を導きました。 正四面体の面の個数はもちろん4なので、正四面体の面積は
  { \displaystyle
\begin{align*}
  S &= 4\cdot \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 \\[2mm]
     &= \sqrt{3} a^2
\end{align*}
}

体積  { V }

頂点 A から △BCD に下ろした垂線の足を H とします。 △BCD を底面と見たとき、線分 AH がこの正四面体の高さとなります。

H が△BCD の重心であること
△ABH, △ACH, △ADH が合同なので(証明略)、 { \textrm{BH} = \textrm{CH} = \textrm{DH} }。 よって H は △BCD の外心となる。 正三角形の外心と重心は一致するので、H は △BCD の重心である。

BH の長さ
BM が△BCD の中線*1であり、H が △BCD の重心であることから、H は線分 BM 上にあり、 { \textrm{BH} : \textrm{HM} = 2 : 1 } が成り立つ(証明略)。 よって

  { \displaystyle
\begin{align*}
  \textrm{BH}
    &= \frac{2}{3} \textrm{BM} \\
    &= \frac{\sqrt{3}}{3}a
\end{align*}
}

AH の長さ
直角三角形 ABH に三平方の定理を用いると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  \textrm{AH}
    &= \sqrt{a^2 - \left(\frac{\sqrt{3}}{3}a\right)^2}
    = \sqrt{\frac{2}{3}}a \\[2mm]
    &= \frac{\sqrt{6}}{3}a
\end{align*}
}

正四面体の体積
BCD の面積は  { \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 } なので、正四面体の体積  { V }

  { \displaystyle
\begin{align*}
  V &= \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 \cdot \frac{\sqrt{6}}{3}a \\
     &= \frac{\sqrt{2}}{12}a^3
\end{align*}
}

となります。

内接球・辺に接する球・外接球の半径  { r,\,\rho,\,R }

体積を求めるのが一応の目的で、それは達成できたのですが、ついでにいくつかの球に関して半径を求めておきましょう。 正多面体の場合は内接円、外接円の半径を求めましたが、ここでも同じような球に対して半径を求めておきましょう。 求めるのは

  • 内接球(各面に接する球)の半径  { r }
  • 辺に接する球の半径  { \rho }
  • 外接球(各頂点を通る球)の半径  { R }

「辺に接する球」って名前がありそうだけど知らないので長い名前で書いてます。

内接球・外接球の半径  { r,\,R }
さて、では各半径の長さを求めていきましょう。 まずは  { r,\,R } をいっしょに求めます。 体積を求める際に用いた △ABM の断面にもう少し補助線を引くと(ここには  { \rho } も書き入れてます)
f:id:waman:20150922115611p:plain

上図より

  { \displaystyle R + r = \frac{\sqrt{6}}{3}a \qquad\cdots(1)}

が分かります。 また、直角三角形 OBH に注目して

  { \displaystyle
\begin{align*}
  r^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{3}a\right)^2 &= R^2 \\
  r^2 + \frac{1}{3}a^2 &= R^2 \qquad\cdots(2)
\end{align*}
}

(1) を  { R } について解いて (2) に代入すると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  r^2 + \frac{1}{3}a^2 &= \left(\frac{\sqrt{6}}{3}a - r\right)^2 \\
  r^2 + \frac{1}{3}a^2 &= \frac{2}{3}a^2 - \frac{2\sqrt{6}}{3}ar + r^2 \\
  \frac{2\sqrt{6}}{3}r &= \frac{1}{3}a \\
  r &= \frac{\sqrt{6}}{12}a
\end{align*}
}

となり  { r } が求まりました。 これを (1) に代入して

  { \displaystyle
\begin{align*}
  R &= \frac{\sqrt{6}}{3}a - \frac{\sqrt{6}}{12}a \\
     &= \frac{\sqrt{6}}{4}a
\end{align*}
}

となります。 ちなみに

  { \displaystyle r : R = 1 : 3 }

となり、 { \textrm{AO} : \textrm{OH} = 3 : 1 } が成り立っています。

体積から内接円の半径を求める
上記の導出とは別に体積から内接球の半径を求めてみましょう。 正四面体 ABCD は、重心 O を頂点とし正三角形の各面を底面とする4つの合同な三角錐に分割できます。 このとき、各三角錐の高さが内接球の半径  { r } になるので、正四面体の体積  { V = \frac{\sqrt{2}}{12}a^3 }、面の個数  { f = 4 }、面の面積  { s = \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 } の間には以下が成り立ちます:

  { \displaystyle V = f \cdot \frac{1}{3} r s }

これから  { r } を求めると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  \frac{\sqrt{2}}{12}a^3 &= 4 \cdot \frac{1}{3} r \cdot \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 \\
  r &= \frac{\sqrt{6}}{12}a
\end{align*}
}

となって、先ほどの結果と一致します。

辺に接する球の半径  { \rho }
上図で長さ  { \rho } の線分を含む直角三角形に対して三平方の定理を用いると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  \rho
    &= \sqrt{R^2 - \left(\frac{1}{2}a\right)^2}
    = \sqrt{\frac{3}{8}a^2 - \frac{1}{4}a^2}
    = \sqrt{\frac{1}{8}a^2} \\
    &= \frac{\sqrt{2}}{4}a
\end{align*}
}

を得ます。

 { r,\,\rho,\,R } の比
上記で求めた3つの半径の比を求めてみると

  { \displaystyle
\begin{align*}
  r : \rho : R
    &= \frac{\sqrt{6}}{12}a : \frac{\sqrt{2}}{4}a : \frac{\sqrt{6}}{4}a \\
    &= 1 : \sqrt{3} : 3
\end{align*}
}

となり、比較的簡単な比になります。

次回は正六面体(立方体)。 体積は簡単ですが、各球の半径は・・・まぁ、これも暗算で出せるレベルですがマジメに出してみます。

*1:三角形の頂点と対辺の中点を結んだ線分。 任意の三角形において、三角形の重心は三本の中線の交点となる(これを定義とする場合もある)。