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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

『Quantum Computing: A Gentle Introduction』の演習問題を解く 3.9

Quantum Computing: A Gentle Introduction (Scientific and Engineering Computation) (English Edition)

Quantum Computing: A Gentle Introduction (Scientific and Engineering Computation) (English Edition)

目次はこちら

Exercise 3.9.

  • a. Show that any  { n }-qubit quantum state can be represented by a vector of the form

      {  \displaystyle\begin{align*} a_0|0...00\rangle + a_1|0...01\rangle + \cdots + a_{2^n-1}|1...11\rangle \end{align*}}

    where the first non-zero  { a_i } is real and non-negative.
  • b. Show that this representation is unique in the sense that any two different vectors of this form represent different quantum state.

問題では言及されていませんが、係数  { a_i }

  { \displaystyle\begin{align*}
  \sum_{i=0}^{2^{n-1}} |a_i|^2 = 1
\end{align*}}

を満たすように規格化されているとします。

a.
任意の(規格化された)ベクトルに対して、それと同じ状態で、かつ最初の0でない係数が実数で正のベクトルが存在することを示します。 最初の0でない係数の番号を  { m } とします。 つまり  { a_i = 0 \quad(i = 0,\,1,\,\cdots,\,m-1) }。 このとき(状態のラベリングを10進表記にして)

  { \displaystyle\begin{align*}
  \sum_{n=0}^{2^{n-1}} a_i |i\rangle
    &= \sum_{n=m}^{2^{n-1}} a_i |i\rangle\\
    &= e^{\textbf{i}\phi}\sum_{n=m}^{2^{n-1}} a_ie^{-\textbf{i}\phi} |i\rangle \qquad
      \left(\phi = \arg (a_m) \quad \textrm{or} \quad a_m = |a_m|e^{\textbf{i}\phi}\right) \\
    &\sim \sum_{n=m}^{2^{n-1}} a_ie^{-\textbf{i}\phi} |i\rangle \\
    &= |a_m| |m\rangle + \sum_{n=m+1}^{2^{n-1}} a_ie^{-\textbf{i}\phi} |i\rangle
\end{align*}}

 { |a_m| } は実で正なので、0でない最初の係数が実で正となっている等価な状態があることが示せました。

まぁ要は最初の0でない係数の位相でくくればいいだけなんですけど。

b.
既に規格化がされている場合には、状態を同じに保ったまま係数を変えるのは大域位相の変換しかありません。 これはもともとの係数が実で正なら、虚部を持つ複素数に変えるか、(位相を  { \pi } ずらすなら)符号を変える変換になります。 したがって、最初の0でない係数が実で正だが互いに係数は異なるベクトル同士では、状態を保ったまま一方を他方へ変える変換は存在しません。 つまり、最初の0でない係数が実で正ならば、係数が異なれば異なる状態を表します。