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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

正接関数 tanθ の高階導関数

Twitter の TL 上に  { \tan\theta } をどんどん微分していくツイートが流れてたのだが、こんな感じにやればいいんじゃないかという方法があるので書いてみます。

準備
 { \tan\theta }微分は高校数学でやりますね(数学IIIなのでやらない人もいるかな)。

  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)' = \frac{1}{\cos^2\theta}
\end{align*}}

また、後で使うこんな公式も数学Iでやりますね。

  { \displaystyle\begin{align*}
  1+\tan^2\theta = \frac{1}{\cos^2\theta}
\end{align*}}

小さい  { n } について実行してみる
さて、上記の公式を踏まえて、実際に  { \tan\theta }微分を計算してみましょう。 合成関数の微分を使ってるので、数学III前提ですが。 結果を  { \tan\theta } のみで表すのがミソですかね。

  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)'
    &= \frac{1}{\cos^2\theta} \\
    &= 1 + \tan^2\theta 
\end{align*}}


  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)''
    &= (1+\tan^2\theta)' \\
    &= 2\tan\theta \cdot \frac{1}{\cos^2\theta} \\
    &= 2\tan\theta (1+\tan^2\theta) \\
    &= 2\tan\theta + 2\tan^3\theta 
\end{align*}}


  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)'''
    &= (2\tan\theta+2\tan^3\theta)' \\
    &= (2 + 6\tan^2\theta) \frac{1}{\cos^2\theta} \\
    &=  (2 + 6\tan^2\theta) (1+\tan^2\theta) \\
    &= 2 + 8\tan^2\theta + 6\tan^4\theta
\end{align*}}


  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)''''
    &= (2 + 8\tan^2\theta + 6\tan^4\theta)' \\
    &=  (16\tan\theta + 24\tan^3\theta) (1+\tan^2\theta) \\
    &= 16\tan\theta + 40\tan^3\theta + 24\tan^5\theta
\end{align*}}

ちょっと途中式を書きすぎてゴチャゴチャしてしまってますが、結果だけ書くと以下のようになります:

  { \displaystyle\begin{align*}
  \begin{matrix}
    \tan\theta =& & \tan\theta \\
    (\tan\theta)' =& 1&& + \tan^2\theta \\
    (\tan\theta)'' =& &2\tan\theta && + 2\tan^3\theta \\
    (\tan\theta)''' =& 2&& + 8\tan^2\theta && + 6\tan^4\theta \\
    (\tan\theta)'''' =& &16\tan\theta && + 40\tan^3\theta && + 24\tan^5\theta
  \end{matrix}
\end{align*}}

 { \tan\theta } { n }導関数は、 { \tan\theta } { n+1 } 次式で、 { n+1 } と同じ偶奇を持つ次数の項しか出てこないようですね。

係数を表を使って計算する
上記の具体的に微分を実行する方法を眺めると、 { \tan\theta } { n } 階の導関数を得るには、

  1.  { \tan\theta } { n-1 } 階の導関数 { \tan\theta }微分する
  2.  { (1+\tan^2\theta) } を掛ける

という手順を繰り返せばいいだけだと分かります。  { 1+\tan^2\theta } を掛けた後に展開して同類項をまとめるのは、二項係数をパスカルの三角形を使って計算するのと似たことをすればいいので、下図のように係数だけを抜き出して算数っぽく計算していくことができます。

f:id:waman:20170328150258p:plain

各マスの数字は、 { \tan\theta } { n } 階の導関数 { \tan^m\theta } の係数となっています(数字がないところは0)。 あるマスの数字を計算するには、左上の数字と右上の数字を見て、それぞれの数字に  { m } の値を掛けて足し算をします。 2つの数字で掛ける  { m } の値が違うので注意。  { m } の数字を掛けるのがパスカルの三角形と違うところですね。

この手順を繰り返すと

n \ m 0 1 2 3 4 5 6 7 8
0 1
1 1 1
2 2 2
3 2 8 6
4 16 40 24
5 16 136 240 120
6 272 1232 1680 720
7 272 3968 12096 13440 5040
8 7936 ...
9 7936 ...

のような表ができますが、これから

  { \displaystyle\begin{align*}
  (\tan\theta)^{(7)} = 272 + 3968\tan^2\theta + 12096\tan^4\theta + 13440 \tan^6\theta + 5040 \tan^8\theta
\end{align*}}

だとか、 { (\tan\theta)^{(9)} } の定数項が 7936 であることなどが分かります。

【補足1】
 { m=0 } の左端の列の数字を  { n! } で割ると、 { \tan\theta } の冪展開(テイラー展開)の係数が得られます( { \tan\theta } の冪展開に関しては、昔に記事書いた)。  { \tan\theta } の展開にはベルヌーイ数が出てきますが、 { \tan\theta } の高階導関数の係数ってベルヌーイ数使って書けそうだけどどうなんでしょ?*1

【補足2】
 { \tan\theta } の逆数  { \cot\theta } についても

  { \displaystyle\begin{align*}
  (\cot\theta)' = -\frac{1}{\sin^2\theta} \\
  1+\cot^2\theta = \frac{1}{\sin^2\theta}
\end{align*}}

を使えば同じことができます( { \tan\theta } の代わりに  { \cot\theta } を使うのと、全体に符号  { (-1)^n } が付くくらいの違い)。

【修正】

  • 表の右下のあたりの数値が間違っていたので修正しました

微分積分・平面曲線 (岩波 数学公式 1)

微分積分・平面曲線 (岩波 数学公式 1)

*1:上記の表を使った計算は上から下へ進めていきますが、その計算を逆に辿るような感じで左から右へ計算していくと、一応ベルヌーイ数を使って表すことはできそう。 綺麗になるかどうかはわかりませんが。