倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

もう少し三角関数の公式 ~目次~

以前に三角関数の公式を復習するシリーズ記事(『三角関数の公式を復習する (1) : 三角関数の定義と相互関係』に目次あり)を書きましたが、これらは一応高校数学の範囲内の話でした(高校で出てこない3つの三角関数の公式も導いてますが)。このシリーズで…

高校数学での三角関数の積分の確認

三角関数の公式を復習するシリーズ(目次)。 高校数学で三角関数を含む積分をあれこれ計算できるようになるには多少の演習が必要かと思いますが、問題集をやる前に のような各三角関数の冪乗の積分をある程度できるようになっておいた方がいいでしょう。 こ…

ベッセル関数の漸近展開

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 今回はベッセル関数や変形ベッセル関数の での漸近的な振る舞いを見ていきます。 ベッセル関数の漸近展開にはいくつか種類があるようですが、今回見ていくのはハンケルの漸近展開というものです(たぶん一番…

続・変形ベッセル関数の公式あれこれ

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 前回、変形ベッセル関数の公式をいくつか導きましたが(追記あり)、今回は、そこで出てきたパラメータ が半奇数の場合の公式をもう少し深く掘り下げていきます。前回導いた公式変形ベッセル関数は、パラメ…

変形ベッセル関数の公式あれこれ

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 今回はベッセル関数の眷属である変形ベッセル関数。 定義と微分公式、パラメータ が半奇数の場合の式を見ていきます。これらの公式は基本的に『ベッセル関数の公式』で導いたものから容易に導くことができま…

被積分関数と積分区間に変数を持つ積分の微分

なんか Twitter の TL に流れてたけど、どうもその流れでの説明があってるのかどうかよく分からなかったので、きちんと計算してみる。問題 のとき を計算する。 は各変数で微分可能な任意関数。証明 を の に関する原始関数とする、つまり ただし、 は 積分…

ベッセルの微分方程式のロンスキアンとノイマン関数

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 今回はベッセルの微分方程式 のロンスキアン(『特殊関数のための微分方程式論 Quick Start ~ロンスキアン・自己随伴化~』参照)をベッセル関数の満たす公式から導きます。 ロンスキアンを微分方程式から…

特殊関数の公式を証明する記事の目次

特殊関数の公式を証明していく記事が増えていきそうなので目次記事を作っておきます。 一般論 『特殊関数のための微分方程式論 Quick Start ~ロンスキアン・自己随伴化~』 ガンマ関数・ベータ関数 『とあるガンマ関数の公式目録』 『ガンマ関数とベータ関…

ベッセル関数(円柱関数)の公式あれこれ

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 以前の記事でベッセル関数や円柱関数の定義をみましたが、今回は後で使う(かも知れない)公式をいくつか導いていきます。 大半は微分の公式です。【この記事の内容】 定義 準備 1階微分 高階微分 シュレー…

特殊関数のための微分方程式論 Quick Start ~ロンスキアン・自己随伴化~

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 微分方程式論、特殊関数についてのこちらのサイトの「Lectures」下にある PDF のノートが簡潔で非常に分かりやすかったので、後で使いそうな事項を見繕って、計算を追いつつまとめてみました。 と言いつつ、…

ベッセルの微分方程式の解としてのノイマン関数

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 前回ベッセルの微分方程式の級数解としてベッセル関数を導きましたが、パラメータ が整数の場合はベッセル関数以外の解が存在します。 通常用いられるのはノイマン関数という関数で、前回は定義だけを見まし…

ベッセルの微分方程式とその級数解

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 中心力ポテンシャル系のシュレディンガー方程式を解く際に、動径方向の方程式として出てくるベッセルの微分方程式の級数解をガリガリ求めていきます。 解はベッセル関数と呼ばれる関数になります。 ベッセル…

三角関数の n 倍角の公式を導く ~正弦編~

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 前回、余弦の 倍角の公式を導きましたが、基本的には同じ方法で正弦の 倍角の公式も導けます。 ただ、正弦の場合は が偶数か奇数かによって結構式が異なるので少々面倒です。 とは言え、タイトルに「導く」と付け…

三角関数の n 倍角の公式を導く ~余弦編~

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 前回はド・モアブルの公式を使って三角関数の 倍角の公式を導きましたが、そこで導いた公式では が混在した式になっていました。 今回は別の方法で もしくは にもう少し統一された公式を導きます。 できうる限り …

オイラーの公式とド・モアブルの公式と三角関数の n 倍角の公式と

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 数年前に高校数学で複素数で学ぶことが拡充され(というか復活して)ド・モアブルの公式(ド・モアブルの定理)をやるようになりましたが、この公式はオイラーの公式を知ってると簡単に理解できます(むしろオイラ…

シュレディンガー方程式を解こう ~2次元中心力ポテンシャル~

シュレディンガー方程式を解こうシリーズ(目次)。 今回は2次元での中心力ポテンシャル系、つまりポテンシャルが動径 にのみ依存する系を考えます。中心力ポテンシャルを とおくと、シュレディンガー方程式は となります。 「ラプラシアンの極座標表示 : 2…

エルミートの微分方程式とその級数解

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 『シュレディンガー方程式を解こう ~調和振動子~』に関する補足記事でもあります。 この記事ではなるべく生成・消滅演算子の前提知識なしにシュレディンガー方程式の解を求めてみます。適当に変数を書き換…

シュレディンガー方程式を解こう ~調和振動子~

シュレディンガー方程式を解こうシリーズ(目次)。 今回は調和振動子。調和振動子のシュレディンガー方程式は生成・消滅演算子による定式化の知識を使わずに解くこともできますが、固有関数の規格化や直交性を示そうと思うと結局この定式化と同じようなこと…

量子力学的調和振動子と生成・消滅演算子

座標演算子と運動量演算子の交換関係から始めて、生成・消滅演算子、個数演算子、個数演算子の固有状態などを簡単に見ていきます。 交換関係の計算には「角運動量演算子の交換関係」の記事で導いた交換関係の公式(反可換性、分配法則、ライプニッツ則)など…

続・正接関数 tan x の高階導関数

以前の記事で の高階導関数を の多項式で表したときの係数を、表を使って計算する方法を見ました。 今回はその結果を踏まえて、係数を与える式を導きたいと思います。 ただ、完全に一般的には出せていなくて、一部だけの表式となります。 の最高次の係数まず…

階乗冪の和の公式

以下のような積の和を一般に与える公式を導きます。 参考 『級数・フーリエ解析 (岩波 数学公式 2)』 概要後でもう少し一般化した場合を導出しますが、 の場合に算数っぽく導出しておきます。 まずは の場合。 角括弧内の第1項内の1つ目の項 と第2項内の2つ…

正接関数 tan x の高階導関数

Twitter の TL 上に をどんどん微分していくツイートが流れてたのだが、こんな感じにやればいいんじゃないかという方法があるので書いてみます。準備 の微分は高校数学でやりますね(数学IIIなのでやらない人もいるかな)。 また、後で使うこんな公式も数学I…

シュレディンガー方程式を解こう ~井戸型ポテンシャルによる束縛状態~

シュレディンガー方程式を解こうシリーズ(目次)。 今回は1次元で井戸型ポテンシャルによって束縛状態になっている系を解いてきます。時間に依存しないシュレディンガー方程式は でした(1次元で変数が1つなので、偏微分ではなく常微分にしています)。【こ…

シュレディンガー方程式を解こう ~目次~

学部でやるような量子系のシュレディンガー方程式を解いていくシリーズの目次。ハミルトニアンを 、状態ベクトルを とすると、時間に依存するシュレディンガー方程式 (Schrödinger equation) は で与えられるのでした。 このシリーズ記事では、基本的にハミ…

懸垂曲線の方程式を導く

ひもの両端を持って垂らしたときにできる曲線を懸垂曲線(wikipedia:カテナリー曲線 catenary)といいますが、この曲線の方程式を導いてみます。 結果は双曲線関数の1つ を使って表されます。高校時代にどこかで導出を読んだ覚えがあるんですが、その過程で…

量子ビットの測定についての計算メモ(n 個の場合)

前回の続き。 今回こそは n-qubit 系をやります。この記事では、n-qubit 系の状態のラベルを2進数とみなして、それを10進数に直したラベルで状態を表す場合に、二重の三角括弧を使うことにします。 例えば 3-qubit 系で という状態を と表すことにします。以…

量子ビットの測定についての計算メモ(1, 2 個の場合)

この記事では、1 qubit 系の一般的な正規直交基底 、ただし を用いて n-qubit 系の中の1つの qubit を測定したときに、得られる状態とその確率を計算します。この正規直交基底は、 のとき標準基底 、 のときアダマール基底に対応します。ちなみに、状態のラ…

『Quantum Computing: A Gentle Introduction』の演習問題を解く 3.14

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『Quantum Computing: A Gentle Introduction』の演習問題を解く 3.13

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