前回までは、(なるべく)高校数学のみを使って球の体積を求めました。 大学以降ではこのような方法ではなく、一端「極座標」(2次元の場合は高校数学の数学 C でやります)に変数変換した後、積分を実行します。 この方法では変数変換の部分(体積がどのように変換されるか)が少々難しいですが、積分の実行を各変数でバラバラに行えるので、n 次元球の体積を求めるのに使えます。
今回から何回かで、いくつかの次元での極座標のヤコビ行列とヤコビアンを導いていきます:
2次元極座標
2次元の極座標は次のように定義されています(これは高校数学の数学 C でやります):
2次元極座標の体積要素
直交座標 から極座標 へ変数を変換すると、積分を実行するには体積要素 を変換する必要があります。 変換後の体積要素は以下の手順で計算します:1. ヤコビ行列 を計算する:
2. ヤコビアン (Jacobian ヤコビ行列の行列式) を計算する:
3. 体積要素の変換公式:
では、実際に計算してみましょう。 まずヤコビ行列:
したがって、体積要素の変換公式は次のようになります:
結局、極座標の体積要素は以下のようになります: