もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 この記事では、引数が複素数の場合の三角関数の表式を導きます。 もう少し具体的に言うと、 や などを や などを使って表そうということです。 ちなみに、この記事中では は実数とします(別に複素数でも式自体は成り立ちますが)。
以前の記事「三角関数の公式を復習する (2) : 負の引数、純虚数の引数」で導いた公式
より、複素関数の三角関数では、自然に双曲線関数が出てきます。
正弦・余弦
正弦・余弦関数は、加法定理を使えば簡単に導けます。
( が実数なら)実部と虚部がキチンと分離された表式になってます。
正接
複素変数の正接関数を導くには、「もう少し三角関数の公式: 正接の加法定理・再考」で導いた加法定理の表式
を使います。 後は正弦・余弦で導いたのと同じです:
この表式は、分母が実数、分子は実部と虚部が分離されているので、全体としても実部と虚部が分離された形になっています。 「三角関数の公式を復習する (3) : 三角関数の加法定理」で導いた正接の加法定理では、このような形にはなりません。
余接
ついでに余接
についての同様の式も導いてみましょう。 まずは加法定理から。 これには積和の公式を使います。
分母・分子に を掛けて積和の公式を使っています。 を掛けて同様の変形をすることもできますが、次に見る複素変数の表式が、実部と虚部が分離された形にならない(少なくとも綺麗な形では)ため、このように変形しています。
加法定理の表式が導けたので、後は正接の場合とやることは同じです:
あれこれ負符号が付いてますが、基本的には正接の表式と変わりありませんね。