古典力学のいろいろな系で運動方程式を解いていくシリーズ(目次)。 今回は速度に比例する摩擦力が働く調和振動子を考えます。 流体中などでStokes の抵抗力が働いている場合などがこれにあたります。 この系のニュートンの運動方程式は
となります。 ただし
- : 質量
- : ばね定数
- : 摩擦力の比例定数
です。 これらはすべて正の定数です。
運動方程式を解く
運動方程式の整理
まずは運動方程式 (*) を整理しましょう。 以降、時間微分は文字の上にドット (・) を付けて表します:
ここで
とおくと
を得ます。 の前の係数 2 は、後の便利のために入れてます。
一般解を求める
(1) 式の解として
の形のものを求めましょう。 一般解はこの形の解の線型結合で表されます。 これを (1) 式に代入すると
式を簡単にするために
とおくと
これを踏まえて、一般解は以下のように表されます:
初期条件を課す
(2) 式に以下の初期条件を課しましょう:
より
また
なので、 より
よって の場合、(3) 式も使って
を得ます。 よって (3), (4) より以下を得ます:
の場合は、下記 (ii) の臨界制動の箇所を参照。
運動の分類
上記の結果で表される運動は、 が (i) 実数、(ii) 0 (iii) 純虚数の3つの場合で定性的に変わってきます。 ちなみに
でしたね。
(i) のとき : 強制制動(非周期的減衰)
このとき は実数となります。 このとき
となります。 の定義より となるので、 ともに時間に関して指数関数的に小さくなっていきます。
(ii) のとき : 臨界制動(非周期的減衰)
このとき となります。 強制振動の表式で の極限をとると
この場合、単純な指数関数的減衰ではありませんが、振幅・速度ともに単調な減少をします。
(iii) のとき : 減衰振動
このとき は純虚数となります。 表式を整理するため
とおくと
となります。 この を用いて を書き換えると
これは指数関数的に減少する因子と、周期的に振動する因子の積となっています。 したがって、これは振幅・速度ともに振動しながら減衰していく運動となります。