前回見たベルヌーイ数ですが、 正接関数 をはじめいくつかの初等関数*1の冪級数展開(テイラー展開)の係数として登場します。 今回はそれらの冪級数展開を導きたいと思います(やはり[wikipeida:ベルヌーイ数]に載ってる公式の導出をやってるだけですが)。 収束半径は気にしてません。
参考
- wikipedia:ベルヌーイ数
- Wolfram Math World「Bernoulli Number」
- 『Javaによるアルゴリズム事典』
- 『級数・フーリエ解析 (岩波 数学公式 2)』
定義
ベルヌーイ数 は以下の冪級数展開の係数として定義されてるのでした:
左辺の関数が(難しくはないけど)何なのかがよく分からないのがベルヌーイ数の謎なところ。
双曲線関数の余接
双曲線関数の余接 の定義は以下の通り(「もしも高校で双曲線関数をやったなら (1) : 双曲線関数の定義と相互関係」参照):
これをもう少し変形して (*) 式を用いると以下の冪級数展開が得られます:
ここで を用いると
初項は第2項の の場合に含めることもできますが、 で特異になる項として抜き出してます。
最初の数項を書き下しておくと
三角関数の余接
次は三角関数の余接 。 三角関数は双曲線関数で引数を純虚数にすれば簡単な関係が導ける(「もしも高校で双曲線関数をやったなら (2) : 負の引数、純虚数の引数」参照)ので、上記の coth x の冪級数展開から難しくなく導けます:
よって
の展開の各項に符号因子が付いただけになりました。 最初の数項を書き下しておくと
三角関数の正接
では最後にベルヌーイ数がその展開係数に出てくるよ!と言われる の展開。 まずは と の間の関係式
を証明しましょう。 まずは正弦・余弦の倍角の公式を駆使して を以下のように変形します:
これを について解いて
を得ます。 これで の冪級数展開を使って を展開することができます:
よって
を得ます。 最初の数項を書き下しておくと
となります。
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