前回、 次元における点と 次元超平面との距離を与える公式を導きました。 そのついでとして3次元空間での点と平面との距離の公式を得ました。 今回は、その3次元での公式を、「点と直線の距離の公式を導く ~初等的解法~」で行ったのと同じような方法で導いてみたいと思います。 まぁ、脳の老化を防ぐための頭の体操レベルの、難しくないけど面倒な計算演習って感じですが。 簡単のため、一般の点ではなく原点と平面との距離を求めます。
点と直線の距離の公式と同様、導出にはいくつかの方法があります:
- ガリガリ計算編
- ちょっと解析学使っちゃうよ編
- ラグランジュの未定乗数法編
導出の概要
原点と平面との距離 は、図形的に考えれば原点を中心とする半径 の球と平面が接するように、 を決定すれば OK。
変数は 。 (2) 式は拘束条件なので、これを使って変数 を消去しましょう。 (2) 式より
(1) 式の両辺に を掛けて (2) 式を代入すると
この についての2次方程式が重解(?)を持つように を決定します。
左辺を平方完成
まず、方程式 (3) の左辺を について平方完成しましょう:
次に、第2項以降の に依存しない項を取り出して について平方完成します:
さらに第2項以降を取り出して変形すると
すべてまとめると、方程式 (3) は以下のようになります:
重解を持つように を決定
上記の方程式が について重解を持つためには、左辺の に依存しない第3項が消えなければなりません。 よってまた、方程式の解となる の値は、第1, 2 項の平方の中身がそれぞれ0になるという条件から出せます:
の値は既に求まっていますが、 の式には が含まれているので、 の値を代入して
ちなみに、 は (2) 式から出せて
を得ます。 はい、ミッション、コンプリート。
訂正
記事タイトルが「点と直線の距離」となってましたが、「点と平面の距離」の間違いでした。 そのうち「点と直線の距離」も出せればいいなと。- 出版社/メーカー: 数研出版
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