を使って三角関数の加法定理に関連する公式を導きました。 今回はこのオイラーの公式を用いて、三角関数と指数関数を含む積分を求める方法を見ていきます。 今回見ていく積分は以下の形のもの:
正弦を余弦に変えたものも同じ方法で出せます。 ちなみに積分定数は無視するよー。
高校数学で積分する
まずは、高校数学の範囲内でどのように積分を実行するかを見ておきましょう。 この積分は部分積分の演習問題でよく出てくる問題ですね。
最初と最後の式から が満たす関係式が導かれ
となります。 よって
この方法では部分積分を2回実行しないといけないのが面倒ですね。 問題によっては
を導入して が満たす連立方程式を導いて求める方法もありますが、部分積分を2回実行することに変わりはありません。
オイラーの公式を使って積分する その1
さて、上記の積分をオイラーの公式を使って積分する方法を見ていきましょう。 そのまえに、オイラーの公式から三角関数と(指数が純虚数の)指数関数との関係を確認しておきましょう:
これを踏まえて の積分を「指数関数の積分」として実行します:
ここで、指数が複素数でも実数値関数と同じように積分が実行できるとして
積分完了。 行数的には部分積分で行ったのとあまり変わりませんが、実際にやってるのは簡単な複素数の計算がほとんどです。
オイラーの公式を使って積分する その2
次は、本質的には先ほどと同じ計算だけど、次の2つの積分
をまとめて実行し、かつ計算自体も簡単になる方法を見ていきます。 高校数学でもこの2つの積分を一緒に求めた方が見通しがよくなりますが、計算自体はそんなに楽になるわけではありません。 一方、以下で行うオイラーの公式を使う方法では、複素数が2つの実数を有機的に統合する結果、計算自体も簡単になります。
よって
両辺の実部と虚部を比較して
を得ます。
演習
上記の方法を使って、 をちょっと一般化した以下の積分
を実行してみましょう。 部分積分を2回実行すれば高校数学の範囲内でも出せますが、正直あまりやろうって気が起きない積分。 でも、上記の方法ではそこまでしんどくはありません。 手順は同じ。
実部と虚部を比較して
実際やってみると簡単にでます。 オイラーの公式バンザイ。