今回から何回かに渡って、高校数学で出てくる三角関数の公式をオイラーの公式を使って定義・導出していきます。
【シリーズ記事の目次】
- 三角関数の定義と相互関係
- 負の引数、純虚数の引数
- 三角関数の加法定理
- 倍角の公式
- 半角の公式
- 三倍角の公式
- 三角関数の合成
- 三角関数の積和の公式
- 三角関数の和積の公式
- 三角関数の微分
- 三角関数の積分
- 高校数学での三角関数の積分の確認
いくつかの記事は『もう少し三角関数の公式』に移動しました m(_ _)m
【この記事の内容】
定義
ある直角三角形に対して- 斜辺の長さを
- 直角でない角度の1つを
- 直角と角度 を両端とする方の隣辺*1の長さを
- 残りの辺の長さを
と定義します。
【発展】その他の三角比(三角関数)
辺の長さが3種あるので、比の取り方は 通りあります。 高校ではこのうち、上記で定義した3種のみが出てきますが、これらの他に
という三角比があります。
通常、三角関数の表記では などは の逆関数( などとも書かれる)として定義されるので、関数値の単なる逆数を表す場合には の代わりに と書いたりします。 ただし、多くの場合、高校で出てくる3種の三角比(三角関数)で充分です。
指数関数との関係
高校では学習しませんが、三角関数と指数関数はオイラーの公式
によって関係しています。 ただし は虚数単位。 この関係を使えば、各三角関数と指数関数との間の関係を導けます:
【発展】その他の三角関数
高校では出てこない他の3つの三角関数についても指数関数との関係を見ておきましょう:
相互の関係
ここでは高校数学で出てくる3つの三角関数 についての相互の関係を導きます。 他の3つの三角関数が関わる関係式も同様にして導けますが、特に有用なものはないかと思います。三平方の定理 の両辺を で割って
また、(1) 式の両辺を で割ると
同様に (1) 式の両辺を で割ると
公式まとめ
定義
指数関数との関係
相互の関係
上から順に
- と の関係
- と の関係
- と の関係
となっています。
【追記】
- の定義と指数関数による表式を追記しました。
- 三角関数の定義を直角三角形を使ったものに変更しました。
*1:直角に隣接する辺