倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

もしも高校で双曲線関数をやったなら (1) : 双曲線関数の定義と相互関係

今回から何回かにわたって双曲線関数 (hyperbolic functions) を見ていきます。

  1. 双曲線関数の定義と相互関係
  2. 負の引数、純虚数の引数
  3. 双曲線関数の加法定理
  4. 双曲線関数の倍角の公式
  5. 双曲線関数の半角の公式
  6. 双曲線関数の三倍角の公式
  7. 双曲線関数の合成
  8. 双曲線関数の積和の公式
  9. 双曲線関数の和積の公式
  10. 双曲線関数 tanh の加法定理 再考
  11. 双曲線関数の微分
  12. 双曲線関数の積分

もう少し高度な公式に関しては『もう少し双曲線関数の公式 ~目次~』を参照。

高校数学では三角関数は非常に重要な部分を占めていますが、それと親戚関係にある双曲線関数はほとんど出てきません。 ただ、双曲線関数は、指数関数が分かっていれば三角関数よりもむしろ簡単であり、またいろいろな公式なども三角関数での対応する公式の導出と同じようにして導けるので、高校数学で出てくる三角関数の公式を元にして、双曲線関数の性質をいろいろを見ていきたいと思います。

三角関数の場合はこちら。 これを踏まえて、次は双曲線関数

定義

双曲線関数の定義は、三角関数の場合のように虚数単位などは出てこず、単なる指数関数の和と差から定義されます:

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh x &= \frac{e^x - e^{-x}}{2} \\
    \cosh x &= \frac{e^x + e^{-x}}{2} \\
    \tanh x &= \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}} = \frac{e^{2x} -1}{e^{2x} + 1}
\end{align*}}

なんてことないですね。

相互の関係

{ \sinh x }{ \cosh x } の表式から

  { \displaystyle\begin{align*}
    \begin{cases}
        e^{x} &= \cosh x + \sinh x \\
        e^{-x} &= \cosh x - \sinh x
    \end{cases}
\end{align*}}

辺々を掛けると

  { \displaystyle\begin{align*}
    1  &= \left(\cosh x + \sinh x\right)(\cosh x - \sinh x) \\
        &= \cosh^2 x - \sinh^2 x
\end{align*}}

よって

  { \displaystyle\begin{align*}
    \cosh^2 x - \sinh^2 x &= 1 & \cdots(2)
\end{align*}}

(2) 式の両辺を { \cosh^2 x } で割ると

  { \displaystyle\begin{align*}
    1 - \tanh^2 x = \frac{1}{\cosh^2 x}
\end{align*}}

同様に (2) 式の両辺を { \sinh^2 x } で割ると

  { \displaystyle\begin{align*}
    \frac{1}{\tanh^2 x} - 1 = \frac{1}{\sinh^2 x}
\end{align*}}

となります。

公式まとめ

  { \displaystyle\begin{align*}
    \cosh^2 x - \sinh^2 x &= 1 \\
     1 - \tanh^2 x &= \frac{1}{\cosh^2 x} \\
     \frac{1}{\tanh^2 x} - 1 &= \frac{1}{\sinh^2 x}
\end{align*}}

上から順に

  • { \sinh x }{ \cosh x } の関係
  • { \cosh x }{ \tanh x } の関係
  • { \sinh x }{ \tanh x } の関係

となっています。