倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

もしも高校で双曲線関数をやったなら (4) : 双曲線関数の倍角の公式

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 今回は加法定理からすぐに導ける倍角の公式を導きます。 双曲線関数は引数が角度じゃないので“倍角”と言っていいのかわからないけど、面倒なので“倍角”の公式で通します。 次回以降の記事も同様。 双曲線関数の倍角の公式も三角関数の場合と同じように、加法定理で { y = x } とします。 双曲線関数は高校でやらないので、ちょっとくどいくらいに丁寧に式変形していこうかと。

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh 2x
        &= \sinh (x + x) \\
        &= \sinh x \cosh x + \cosh x \sinh x \\
        &= 2\sinh x \cosh x \\[4mm]
    \cosh 2x
        &= \cosh(x + x) \\
        &= \cosh x \cosh x + \sinh x \sinh x \\
        &= \cosh^2 x + \sinh^2 x \\
        &= 1 + 2\sinh^2 x & (\cosh^2 x = 1 + \sinh^2 x) \\
        &= 2\cosh^2 x - 1 & (\sinh^2 x = \cosh^2 x - 1) \\[4mm]
    \tanh 2x &= \tanh (x + x) \\
        &= \frac{\tanh x + \tanh x}{1+\tanh x \tanh x} \\
        &= \frac{2\tanh x}{1+\tanh^2x}
\end{align*}}

{ \cosh } の倍角の { \sinh x } による表式が、三角関数の場合と符号が異なります。 { \tanh } の倍角の分母も符号変化。

公式まとめ

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh 2x &= 2\sinh x \cosh x \\[2mm]
    \cosh 2x
        &= 1 + 2\sinh^2 x \\
        &= 2\cosh^2 x - 1 \\[2mm]
    \tanh 2x &= \frac{2\tanh x}{1+\tanh^2x}
\end{align*}
}