双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 今回は双曲線関数の合成を見ていきます。 三角関数の場合と同様、合成で使うのはやはり加法定理です。 加法定理を最初に学習したときは、それを使って展開もしくは分解のようなことを行いますが、合成は逆に複数の項を1つにまとめます。 合成を実行できるのは を実数として以下の形をした式です:
では本題の双曲線関数の合成。 基本的には三角関数の場合とやることは同じで、加法定理を使って1つの項にまとめるのが目的です。 ただし、係数の の(絶対値の)大小関係によって合成の仕方が異なります。
ちなみに、双曲線関数の加法定理は三角関数のものと少し符号が異なる部分があるので注意。 こちらを参照。
の場合
のとき
手順はこんな感じ:- でくくる
- 適切な角度 を探す
- 加法定理によって1つの双曲線関数に合成する
計算自体は三角関数の場合とそんなに変わらないのでサラっといきます。
ここで
を満たす を用いて以下のように合成できます:
のとき
手順は、最初に因子でくくるときに負符号を余計に入れる以外は のときと同じです:- でくくる
- 適切な角度 を探す
- 加法定理によって1つの双曲線関数に合成する
角度を にしてるのは と定義が異なるのを示すためです。 負符号を入れる理由は後ほど。
ここで
を満たす を見つけます。 今の場合、 なので が存在します(任意の実数 に対して が成り立ちます)。 これが負符号を余計にくくった理由です。 そして、この を使って、以下のように合成を行えます:
の場合
のとき
こちらの場合の大まかな手順- でくくる
- 適切な角度 を探す
- 加法定理によって1つの双曲線関数に合成する
最初にくくる因子の引く方、引かれる方が変わってることに注意。 平方根の中なので、絶対値が大きい方から小さい方を引くと思えば混乱はしないでしょう。 それ以外は基本的に今までと同じですが、角度の定義が少々異なるので注意。
ここで
を満たす を用いて以下のように合成できます:
のとき
やはり の場合に比べて負符号を余計にくくります。- でくくる
- 適切な角度 を探す
- 加法定理によって1つの双曲線関数に合成する
あとは大体同じ。
ここで
を満たす を用いて
の場合
この場合は、定義より単なる指数関数になることが簡単に分かります:
公式まとめ
ただし は以下を満たす実数:
三角関数の場合は正弦、余弦のどちらにでも合成することができましたが、双曲線関数の場合は の値によってどちらに合成できるかが決まってしまう事に注意。