倭算数理研究所

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もしも高校で双曲線関数をやったなら (8) : 双曲線関数の積和の公式

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 今回は双曲線関数積和の公式を見ていきます。 積和の公式とは、双曲線関数の積({ \sinh x \cosh x } など)を和({ \sinh x + \sinh x } など)で表す公式です。 元になっているのはやはり以前導いた加法定理です。 双曲線関数の積和の公式も三角関数の場合同様、加法定理の和差から求められます。 双曲線関数の加法定理はこんなのでした:

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh(x + y) &= \sinh x \cosh y + \cosh x \sinh y & \cdots(5) \\
    \sinh(x - y) &= \sinh x \cosh y - \cosh x \sinh y &\cdots(6) \\[4mm]
    \cosh(x + y) &= \cosh x \cosh y + \sinh x \sinh y &\cdots(7) \\
    \cosh(x - y) &= \cosh x \cosh y - \sinh x \sinh y &\cdots(8)
\end{align*}}

よって、(5)+(6) より

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh x \cosh y = \frac{1}{2}\big\{\sinh(x+y) + \sinh(x-y)\big\}
\end{align*}}

(5)-(6) より

  { \displaystyle\begin{align*}
    \cosh x  \sinh y  = \frac{1}{2}\big\{\sinh(x+y) - \sinh(x-y)\big\}
\end{align*}}

(7)+(8) より

  { \displaystyle\begin{align*}
    \cosh x \cosh y = \frac{1}{2}\big\{\cosh(x+y) + \cosh(x-y)\big\}
\end{align*}}

(7)-(8) より

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh x  \sinh y  = \frac{1}{2}\big\{\cosh(x+y) - \cosh(x-y)\big\}
\end{align*}}

{ \sinh x \sinh y } のマイナス符号が無くなってる以外は三角関数の場合と同じです。 むしろ双曲線関数の場合の方が覚えやすいです。

公式まとめ

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sinh x \cosh y &= \frac{1}{2}\big\{\sinh(x+y) + \sinh(x-y)\big\} \\
    \cosh x \sinh y &= \frac{1}{2}\big\{\sinh(x+y) - \sinh(x-y)\big\} \\
    \cosh x \cosh y &= \frac{1}{2}\big\{\cosh(x+y) + \cosh(x-y)\big\} \\
    \sinh x \sinh y &= \frac{1}{2}\big\{\cosh(x+y) - \cosh(x-y)\big\}
\end{align*}}