目的は正十二面体、正二十面体の体積を求めることなんですが、ちょっと準備運動として正四面体、正六面体(立方体)、正八面体の体積等を求めていきす。
一辺の長さを とし、以下のように頂点に名前を付けておきます。
M は辺CD の中点です。 AM, BM の長さは
です。 は隣り合う2つの面のなす角で、後で求めます。
幾何学的対象の個数等
面の数 | 4 |
---|---|
辺の数 | 6 |
頂点の数 | 4 |
面の形状(正 角形) | 正三角形 () |
1つの頂点に集まる面の個数 | 3 |
双対パートナー | 正四面体(自己双対) |
オイラーの関係式は
となって確かに成り立ってますね。
正多面体で面の数 、面の形状(正 角形)、1つの頂点に集まる面の個数 が分かっているとき、辺の数 と頂点の数 は(簡単な組み合わせの計算から)
で与えられます。 今の場合に実際に確かめてみると
となり、成り立っています。
隣り合う2つの面のなす角
△ABM に余弦定理を適用して
これは約70°です。
表面積
「正多角形の面積」で正三角形の面積を辺の長さで表した表式を導きました。 正四面体の面の個数はもちろん4なので、正四面体の面積は体積
頂点 A から △BCD に下ろした垂線の足を H とします。 △BCD を底面と見たとき、線分 AH がこの正四面体の高さとなります。H が△BCD の重心であること
△ABH, △ACH, △ADH が合同なので(証明略)、。 よって H は △BCD の外心となる。 正三角形の外心と重心は一致するので、H は △BCD の重心である。BH の長さ
BM が△BCD の中線*1であり、H が △BCD の重心であることから、H は線分 BM 上にあり、 が成り立つ(証明略)。 よって
AH の長さ
直角三角形 ABH に三平方の定理を用いると
正四面体の体積
△BCD の面積は なので、正四面体の体積 は
となります。
内接球・辺に接する球・外接球の半径
体積を求めるのが一応の目的で、それは達成できたのですが、ついでにいくつかの球に関して半径を求めておきましょう。 正多面体の場合は内接円、外接円の半径を求めましたが、ここでも同じような球に対して半径を求めておきましょう。 求めるのは- 内接球(各面に接する球)の半径
- 辺に接する球の半径
- 外接球(各頂点を通る球)の半径
「辺に接する球」って名前がありそうだけど知らないので長い名前で書いてます。
内接球・外接球の半径
さて、では各半径の長さを求めていきましょう。 まずは をいっしょに求めます。 体積を求める際に用いた △ABM の断面にもう少し補助線を引くと(ここには も書き入れてます)上図より
が分かります。 また、直角三角形 OBH に注目して
(1) を について解いて (2) に代入すると
となり が求まりました。 これを (1) に代入して
となります。 ちなみに
となり、 が成り立っています。
体積から内接円の半径を求める
上記の導出とは別に体積から内接球の半径を求めてみましょう。 正四面体 ABCD は、重心 O を頂点とし正三角形の各面を底面とする4つの合同な三角錐に分割できます。 このとき、各三角錐の高さが内接球の半径 になるので、正四面体の体積 、面の個数 、面の面積 の間には以下が成り立ちます:
これから を求めると
となって、先ほどの結果と一致します。
辺に接する球の半径
上図で長さ の線分を含む直角三角形に対して三平方の定理を用いると
を得ます。
の比
上記で求めた3つの半径の比を求めてみると
となり、比較的簡単な比になります。
次回は正六面体(立方体)。 体積は簡単ですが、各球の半径は・・・まぁ、これも暗算で出せるレベルですがマジメに出してみます。
*1:三角形の頂点と対辺の中点を結んだ線分。 任意の三角形において、三角形の重心は三本の中線の交点となる(これを定義とする場合もある)。