ちょっと Twitter の TL である回転体の体積と面積の話を見かけたのですが、(あまりその TL での話の本筋とは関係はない)回転体の表面積の計算方法でちょっと気になったので確認記事を書き書き。
高校数学(数学III)で、回転体の体積を積分で求める公式を学習しますね。 で表されるグラフの の部分(簡単のため、この範囲内で常に とする)を 軸の周りに回転してできる回転体の体積 は
で与えられます。 この公式は という平面でこの回転体を切断した断面の面積が となることから導かれます。
さて、これのアナロジーとして、この回転体の表面積(側面積、 軸に垂直な面を除く面の面積)を として
という公式が成り立つのではないかと思うかも知れませんが(拙者だけ?)、残念ならがこれは成り立ちません。
反例
簡単な例でこの公式が成り立たないことを見てみましょう。 を の周りに回転してできる円錐(の側面)を考えます。 底面の半径、母線の長さはそれぞれ です。 この円錐の側面積 は積分を使わずに計算できて
一方、上記の積分を計算すると
本当の公式
では、実際に回転体の表面積を計算するにはどんな公式を使えばいいかというと、以下のようになります:
余計に付いた平方根の因子は、高校数学の「曲線の長さの公式」に出てくる因子です。 回転体の断面の円周に、表面に沿った長さをかけて積分するってことですね。 実際に上記の例で計算してみると、 より
となって、確かに正しい値が計算できます。
これだけだと不安なので、球面の面積も求めて見ましょう。 を正の定数(半径)として
軸の周りに回転してできる回転体の表面積を上記の公式で計算します。
より
なので
となって、たしかに半径 の球面の面積が出てきます。
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