古典力学のいろいろな系で運動方程式を解いていくシリーズ(目次)。 今回は、『中心力ポテンシャル中での質点の軌跡 ~2次元~』の内容を調和振動子に対して適用して、調和振動子の軌跡を求めて見ます。
ポテンシャル
調和振動子のポテンシャルは、ばね定数を として
で与えられます。
軌跡
『中心力ポテンシャル中での質点の軌跡 ~2次元~』の結果より、中心力ポテンシャル中を運動する質点の軌跡は以下の積分で与えられます:
調和振動子のポテンシャルを入れると
ここで、平方根の中が に比例するように変数 を以下のように導入しましょう:
このとき、被積分関数が簡単になって
よって
これを について解くと
通常やられるように、質点の質量 の代わりに調和振動子の振動数 を使って書き換えておきましょう:
境界条件
中心力ポテンシャルの問題で通常そうするように、質点が中心に最も近づくときに となるように積分定数 を決めましょう。 これは となるように をとれば満たされます:
この式を の代わりに、初期位置 、偏角方向の初速度 を使って書き換えておきましょう。 『2次元の調和振動子』の初期条件の箇所で計算したように
だったので、上記の の式に代入して
したがって、軌跡の方程式として
を得ます。
軌跡の図形
前節の軌跡の方程式がどのような図形を表しているのかを見てみましょう。 そのために極座標から直交座標に戻しましょう:
軌跡の方程式より
『2次元の調和振動子』で初期条件を課したときに見たように なので となります。 よって、この軌跡方程式は中心がポテンシャルの中心で、短軸が 、長軸が の楕円であることが分かります。
初期条件として与える が となっている場合には楕円の長軸と短軸が入れ替わります。 また、 の場合には軌道が円周になります。
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