この記事では、1 qubit 系の一般的な正規直交基底 、ただし
を用いて n-qubit 系の中の1つの qubit を測定したときに、得られる状態とその確率を計算します。
この正規直交基底は、 のとき標準基底 、 のときアダマール基底に対応します。
ちなみに、状態のラベルの はブロッホ球面の角度とは何の関係もありません。
1-qubit 系
まずは 1-qubit 系に対してやってみましょう。 測定前の系の状態が
であったとして、この状態を基底 で測定したときに状態 が得られる確率は、この状態への射影演算子
を用いて、 で得られます。 を計算すると
となるので、求める確率は となります。
同様の計算を の場合に行うと、この状態への射影演算子を として
となるので、求める確率は となります。
結果をまとめると
- の確率で を得る
- の確率で を得る
標準基底での測定
より- の確率で
- の確率で
アダマール基底での測定
より- の確率で
- の確率で
2-qubit 系
次は 2-qubit 系。 規格化された状態
の0番目の Qubit を基底 で測定するとします。 0番目の qubit を状態 への射影する射影演算子 は( を1番目の qubit に対する恒等演算子として)
となります。 これを に作用させて
よって、求める確率を とすると
となります。 測定後の系全体の状態は、 を規格化したものなので、これを とおくと
標準基底で表せば
となります。
同様にして、0番目の qubit を測定して を得る確率 と、測定後の系全体の状態 は
となります( の置き換えをしても得られます)。
まとめると
- の確率で状態 を得、測定後の系全体の状態は
- の確率で状態 を得、測定後の系全体の状態は
となります。
標準基底での測定
より- の確率で を得、測定後の系全体の状態は となる。
- の確率で を得、測定後の系全体の状態は となる。
アダマール基底での測定
より- の確率で を得、測定後の系全体の状態は
- の確率で状態 を得、測定後の系全体の状態は
1番目の qubit を測定する場合の結果は、0番目の qubit を測定する場合の結果で を入れ替えれば得られます。
n-qubit 系をやりたかったのですが、思ったより長くなったので今回はこの辺で。
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