前回の続き。 今回こそは n-qubit 系をやります。
この記事では、n-qubit 系の状態のラベルを2進数とみなして、それを10進数に直したラベルで状態を表す場合に、二重の三角括弧を使うことにします。 例えば 3-qubit 系で という状態を と表すことにします。
以下では、0番目の qubit を測定する場合を前回と同様の方法で導き、その後、それを踏まえて 番目の qubit を測定する場合の結果を書き下します(見て明らかな結果とは言えないですが、導出すると式がやたら複雑になるので)。
0 番目の qubit を測定する場合
規格化された n-qubit 系の状態
の 0 番目の qubit を基底 で測定したとき、得られる状態とその確率、測定後の状態を計算します。 ただし
です(前回付けていた qubit の番号を示す添字は、面倒なので省略してます)。
まずは状態 が得られる場合。 前回と同様に、このベクトルへの射影演算子
( は 番目の qubit に対する恒等演算子)を に作用させて
(ただし、 は0番目の qubit の状態が で、1番目以降の状態が10進数の で指定される状態とします。) よって、求める確率を とすると
また、測定後の系全体の規格化された状態を とすると
標準基底の状態のみで表すと、 より
もう少し変形して、状態を番号順に並べることもできますが、標準基底やアダマール基底の場合に書き下すときにはこのままの方が便利なのでこのままにしておきます。 これで の場合は完了。 を得る場合は、 の場合で の置き換えをすれば得られます。
標準基底で測定する場合
とおくと標準基底で測定する場合が得られます。- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
アダマール基底で測定する場合
とおくとアダマール基底で測定する場合が得られます。- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
番目の qubit を測定する場合
導出は行わず、結果のみを書きます。 完全にメモです。 少し記号を導入。
これを踏まえて、-qubit 系で 番目の qubit を基底 で測定したとき、 を得る確率 は
であり、測定後の系全体の状態は
また、状態 を得る確率は で、測定後の系全体の状態は
標準基底で測定する場合
とおくと標準基底で測定する場合が得られます。- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
アダマール基底で測定する場合
とおくとアダマール基底で測定する場合が得られます。- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は
- 確率 で状態 が得られ、測定後の状態は