特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 前回、変形ベッセル関数の公式をいくつか導きましたが(追記あり)、今回は、そこで出てきたパラメータ が半奇数の場合の公式をもう少し深く掘り下げていきます。
前回導いた公式
変形ベッセル関数は、パラメータが半奇数のとき は以下で与えられるのでした:
ここに現れている微分を実行した結果の式を求めます。
第2種変形ベッセル関数
指数関数に微分を作用させていく方が簡単なので、 に着目して、そこに含まれる因子
を求めます。 微分を実行した結果の式にも が残ることから、 は と の冪級数との積に書けることが分かりますが、この冪級数について
となります。 よって を定数として、 は
と書くことができます。 ただし より となっています。
の満たす漸化式を導く
は定義より以下の漸化式
を満たすので、 に (*) 式を代入して
これと (*) 式で を としたものを比べると、 は以下の漸化式を満たすことが分かります:
の漸化式を解く
(9), (11) 式は簡単に解けて、 より
を得ます( とする)。 (10) 式は予備知識なしで解くのは大変な気がしますが(後日やる予定のベッセル関数の漸近展開では機械的に求められますが)
とおけば漸化式を満たすことが分かります。 実際
となります。 また、この は (9), (11) 式を満たすことも簡単に分かります。
と
上記で得られた の表式を (*) 式に代入すると
を得ます。 また、第2種変形ベッセル関数 は
となります。
第1種変形ベッセル関数
指数関数と双曲線関数は簡単な関係にあるので(『もしも高校で双曲線関数をやったなら (1) : 双曲線関数の定義と相互関係』など参照)、第1種変形ベッセル関数に対する表式も簡単に導けて
となります。