もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は、『逆三角関数の導関数』の結果を使って、逆正弦関数・逆余弦関数の高階導関数を求めます。
逆正弦関数・逆余接関数の導関数は
で与えられるのでした。 一応値域を明示してますが、今回は特に使いません。 逆正弦関数の導関数と逆余接関数の導関数は符号が異なるだけなので、一方を求めればもう一方は簡単に求まります。
逆正弦関数 の高階導関数
関数の積の高階微分は、二項定理のような公式で計算できます。 2つの関数 に対して
が成り立ちます。 ただし、 は の 階導関数、 は二項係数です。
この公式を使って逆正弦関数の高階導関数を計算すると
を得ます。
小さい n について具体的に書き下す
いくつかの について高階導関数を具体的に書き下しておきましょう。の場合
ただし を使いました。 これは『逆三角関数の導関数』で導いた逆正弦関数の導関数と一致しますね。
の場合
の場合
これらを計算していると、高階導関数として通分して和を実行した結果の公式があった方が良さそうですが、計算が大変そうなのでやめておきます。
逆余弦関数 の高階導関数
逆余弦関数の高階導関数は逆正弦関数の高階導関数に負符号を付けたものなので
となります。
まとめ
として
ただし は二項係数、また 。