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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

点と直線の距離の公式を導く ~初等的方法~

高校数学 幾何学 目次

高校数学で、導出に手間がかかるので覚えておかないとテストとかでどうしようもなくなる公式の筆頭候補が点と直線の距離の公式です。 まぁ、手間が少々かかるというだけで、導こうと思って導けない公式ではないので、実際に導いてみましょう。

導き方にはいくつかの方法があります:

今回は高校の教科書に載っている初等的方法を見ていきます。

点と直線の距離の公式

点と直線の距離の公式は以下のようなものでした:

{ P(p,\,q) } と直線 { \ell : ax + by + c = 0 } との距離 { d }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    d = \frac{\left|ap + bq + c\right|}{\sqrt{a^2 + b^2}}
\end{align*}
}

で与えられる。

この公式の導出は段階を踏んで簡単な場合から順に一般化していくのが常套手段。

  1. 原点と直線との距離の公式を導く
  2. 一般の点と直線の距離の公式を導く

原点と直線との距離の公式を導く

まずは、原点 { O } と直線 { \ell : ax + by + c = 0 } との距離を求めましょう。 この距離を { d } として、原点が中心で半径が { d } の円

  { \displaystyle
\begin{align*}
    x^2 + y^2 = d^2
\end{align*}
}

は直線 { \ell } と接するので、連立方程式

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \begin{cases}
        ax + by + c = 0 & \cdots (1) \\[2mm]
        x^2 + y^2 = d^2 & \cdots (2)
    \end{cases}
\end{align*}
}

から { y } を消去した { x } についての(2次)方程式が重解を持つように { d } を決めればよいことになります。 (1) 式より

  { \displaystyle
\begin{align*}
    by &= -\left(ax + c\right) & \cdots (3)
\end{align*}
}

(2) 式の両辺に { b^2 } を掛けて (3) 式を代入すると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    &b^2 x^2 + (ax + c)^2 = b^2 d^2 \\
    \therefore \, & \left(a^2 + b^2\right)x^2 + 2acx + c^2 - b^2d^2 = 0 & \cdots(4)
\end{align*}
}

この2次方程式の判別式を { D } とすると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    D/4
        &= a^2c^2 - \left(a^2 + b^2\right)\left(c^2 - b^2d^2\right) \\
        &= a^2b^2d^2 - b^2c^2 + b^4d^2 \\
        &= b^2\left\{\left(a^2 + b^2\right)d^2 - c^2 \right\}
\end{align*}
}

よって、2次方程式*1 (4) が重解を持つためには { D=0 } より

  { \displaystyle
\begin{align*}
    d = \frac{\left|c\right|}{\sqrt{a^2 + b^2}}
\end{align*}
}

を得ます。

一般の点と直線の距離の公式を導く

上記の結果を踏まえて、原点ではなく一般の点と直線との距離の公式を導きましょう。 点と直線はそれぞれ { P(p,\,q),\;\ell : ax + by + c = 0 } とします。 原点と直線の距離の公式を使うには、点 { P } が原点に写されるような平行移動を直線に施してやれば OK。 この平行移動は

  • { x } 軸方向に { -p }
  • { y } 軸方向に {-q }

ですね。 この平行移動を直線 { \ell } に施すと

  { \displaystyle
\begin{align*}
    & a(x + p) + b(y + q) + c = 0 \\
    \therefore \, & ax + by + ap + bq + c = 0 & \cdots(5)
\end{align*}
}

直線 (5) と原点との距離が求める点と直線の距離 { d } と等しく、前節の結果を用いると

  { \displaystyle
\begin{align*}
    d = \frac{\left|ap + bq + c\right|}{\sqrt{a^2 + b^2}}
\end{align*}
}

となります。 まぁ、フツーの導出方法ですね。 次回、これと同じ公式を、ちょっと別の方法で導いてみます。

チャート式基礎からの数学II+B

チャート式基礎からの数学II+B

*1:{ a,\,b } が同時に0だと { \ell } は直線にならないので、この { x } についての方程式は2次方程式としてよいですね。