倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

初等関数

逆双曲線関数を対数関数で表す

もう少し双曲線関数の公式シリーズ(目次)。 双曲線関数は指数関数を用いて定義されるので、逆双曲線関数は対数関数で表すことができます。 今回はその表式を導きます。逆正弦関数 の関係があるとき、 より ここで とおくと この についての2次方程式を解く…

もう少し双曲線関数の公式 ~目次~

このシリーズでは、『もしも高校で双曲線関数をやったなら』シリーズの続きで、少々高校数学を逸脱する公式を扱っていきます。【シリーズ記事の目次】 複素変数の双曲線関数 双曲線関数の冪級数展開 逆双曲線関数を対数関数で表す 逆双曲線関数の定義域を実…

複素関数としての逆三角関数

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 以前の記事(『逆三角関数の定義域を実数全体に拡張する』、『逆三角関数の公式:純虚数の引数』)で実関数としての逆三角関数を少し複素数に拡張しましたが、今回は回りくどいことをせずに定義域・値域ともに複素…

逆双曲線関数の定義域を実数全体に拡張する

もう少し双曲線関数の公式シリーズ(目次)。 今回は逆双曲線関数の定義域を実数全体に拡張します。 双曲線関数の正弦・余割は値域が実数全体をとるので、その逆関数の定義域はすでに実数全体です。 よってこれらは拡張の必要がありません。導く公式は、 を…

逆三角関数の定義域を実数全体に拡張する

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は逆三角関数の定義域を実数全体に拡張することを考えます。三角関数の正接・余接は値域が実数全体なのでその逆関数の定義域は問題なく実数全体になっているのですが、正弦・余弦は値域が に限定されているの…

逆双曲線関数の公式:純虚数の引数

もう少し双曲線関数の公式シリーズ(目次)。 今回は逆双曲線関数の引数が純虚数の場合を考えます(けっこう高校数学を逸脱してますが)。 導く公式は を逆双曲線関数として、実数 に対して を満たす実数 を で表す式です。【目次】 逆正弦関数 【別導出】 …

逆三角関数の公式:純虚数の引数

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は逆三角関数の引数が純虚数の場合を考えます。 導く公式は を逆三角関数として、実数 に対して を満たす実数 を で表す式です。【目次】 正弦 【別導出】 余弦 【別導出】 正接 余接 正割・余割 まとめ 【修…

逆正弦関数・逆余弦関数の冪級数展開

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は逆正弦関数と逆余弦関数の冪級数展開を見ていきます。 『逆正弦関数・逆余弦関数の高階導関数』で高階導関数を求めましたが、これを使って公式通りに冪級数展開を行うのはちょっと大変なので、別の方法で冪…

逆正弦関数・逆余弦関数の高階導関数

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は、『逆三角関数の導関数』の結果を使って、逆正弦関数・逆余弦関数の高階導関数を求めます。逆正弦関数・逆余接関数の導関数は で与えられるのでした。 一応値域を明示してますが、今回は特に使いません。 …

逆正接関数・逆余接関数の冪級数展開

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は、前回導いた逆正接関数・逆正接関数の高階導関数を用いて、逆正接関数・逆余接関数の( の周りでの)冪級数展開を導きます(高階導関数を使わずに簡単に導く方法もあります)。 逆正接関数・逆余接関数の高…

逆正接関数・逆余接関数の高階導関数

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 以前の記事『逆三角関数の導関数』にて逆正接関数・逆余接関数の導関数を計算しましたが、今回はさらにそれらの高階導関数を計算します。逆正接関数 ・逆余接関数 の導関数は以下で与えられるのでした: これらの…

逆三角関数の導関数

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 今回は三角関数の逆関数である逆三角関数の導関数を計算します。逆三角関数は角度にあたる値域に制限を加える必要がありますが、その制限は各逆三角関数の箇所で指定しています。 たぶんここで指定している制限は…

三角関数の3元加法定理

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 三角関数の加法定理は高校数学で主要な公式ですが、これを2度使って3つの角度を加える公式も簡単に導くことができます。 まぁ、高校数学の演習問題レベルで、結果を覚えるほどの公式ではありませんが、3つの角度を…

もう少し三角関数の公式 ~目次~

以前に三角関数の公式を復習するシリーズ記事(『三角関数の公式を復習する (1) : 三角関数の定義と相互関係』に目次あり)を書きましたが、これらは一応高校数学の範囲内の話でした(高校で出てこない3つの三角関数の公式も導いてますが)。このシリーズで…

高校数学での三角関数の積分の確認

三角関数の公式を復習するシリーズ(目次)。 高校数学で三角関数を含む積分をあれこれ計算できるようになるには多少の演習が必要かと思いますが、問題集をやる前に のような各三角関数の冪乗の積分をある程度できるようになっておいた方がいいでしょう。 こ…

三角関数の n 倍角の公式を導く ~正弦編~

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 前回、余弦の 倍角の公式を導きましたが、基本的には同じ方法で正弦の 倍角の公式も導けます。 ただ、正弦の場合は が偶数か奇数かによって結構式が異なるので少々面倒です。 とは言え、タイトルに「導く」と付け…

三角関数の n 倍角の公式を導く ~余弦編~

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 前回はド・モアブルの公式を使って三角関数の 倍角の公式を導きましたが、そこで導いた公式では が混在した式になっていました。 今回は別の方法で もしくは にもう少し統一された公式を導きます。 できうる限り …

オイラーの公式とド・モアブルの公式と三角関数の n 倍角の公式と

もう少し三角関数の公式シリーズ(目次)。 数年前に高校数学で複素数で学ぶことが拡充され(というか復活して)ド・モアブルの公式(ド・モアブルの定理)をやるようになりましたが、この公式はオイラーの公式を知ってると簡単に理解できます(むしろオイラ…

続・正接関数 tan x の高階導関数

以前の記事で の高階導関数を の多項式で表したときの係数を、表を使って計算する方法を見ました。 今回はその結果を踏まえて、係数を与える式を導きたいと思います。 ただ、完全に一般的には出せていなくて、一部だけの表式となります。 の最高次の係数まず…

正接関数 tan x の高階導関数

Twitter の TL 上に をどんどん微分していくツイートが流れてたのだが、こんな感じにやればいいんじゃないかという方法があるので書いてみます。準備 の微分は高校数学でやりますね(数学IIIなのでやらない人もいるかな)。 また、後で使うこんな公式も数学I…

懸垂曲線の方程式を導く

ひもの両端を持って垂らしたときにできる曲線を懸垂曲線(wikipedia:カテナリー曲線 catenary)といいますが、この曲線の方程式を導いてみます。 結果は双曲線関数の1つ を使って表されます。高校時代にどこかで導出を読んだ覚えがあるんですが、その過程で…

逆双曲線関数を対数関数で表す

双曲線関数は基本的に単なる指数関数なので(『もしも高校で双曲線関数をやったなら (1) : 双曲線関数の定義と相互関係』参照)、逆双曲線関数は対数関数で表すことができます。 を対数関数で表す とおくと 、これを指数関数で書き換えると つまり となりま…

2次無理関数のとある積分公式

この記事では、以下の積分 を実行してみます。 結果が実数関数であることを要請すると、 の値によって の範囲に制限が出てくる場合があるのでちょっと面倒。 後のために、被積分関数の平方根の中を平方完成しておきましょう: では、いくつかの場合に分けて…

36°の三角比

ちょっと後日使うので36°の三角比の値を求めてみます。 高校数学レベルの問題。 ここでは正五角形を使って図形的に求める幾何学的方法と、36°が満たす三角方程式を解く代数的方法代を見ていきます。幾何学的方法1辺の長さが1の正五角形を考えます。 対角線の…

spire (Scala) での円周率の計算 Machin (マチン)の公式

spire という Scala 用の数学ライブラリがあるんですが、そのコードで円周率の値を計算をするために Machin (マチン)の公式というのを使ってたので、その公式が正しいことを計算で確かめてみます。Machin の公式は で与えられます。 は逆正接関数で、これ…

一般化された超幾何関数はどのくらい一般化されているのか?

特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 前回、一般化された超幾何関数という関数の定義を見ました: 今回は、いろいろな関数がこの一般化された超幾何関数を使って表すことができることを見ていきましょう。ポッホハマー記号の値あれこれまず、後…

もしも高校で双曲線関数をやったなら (12) : 双曲線関数の積分

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 前回の微分に続き、今回は双曲線関数の積分を見ていきます。 微分の場合と同様に、基本は指数関数の積分 です。 なお、積分定数は省略します。 は常に正なので、最後の行では絶対値を落としてます。 公式まと…

もしも高校で双曲線関数をやったなら (11) : 双曲線関数の微分

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 そろそろ数学IIIの範囲に入っていきましょう。 実質的に微分を行う関数は指数関数のみです。 双曲線関数は指数関数によって以下のように定義されているのでした: この定義式を微分していきます。 虚数単位が…

もしも高校で双曲線関数をやったなら (10) : 双曲線関数 tanh の加法定理 再考

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 以前に双曲線関数の加法定理を導きましたが、 の加法定理は積和の公式を使うと別の形にまとめることができます。 三角関数の場合と同様にして これまた三角関数の場合と同様に、 の置き換えをして負の引数の公…

もしも高校で双曲線関数をやったなら (9) : 双曲線関数の和積の公式

双曲線関数の公式を見ていくシリーズ(目次)。 今回は双曲線関数の和積の公式を見ていきます。 和積の公式は前回導いた積和の公式を逆に解いただけの公式です。 双曲線関数の場合も三角関数の場合と同様です。 積和の公式 に対して三角関数の場合に導入した…