ひもの両端を持って垂らしたときにできる曲線を懸垂曲線(wikipedia:カテナリー曲線 catenary)といいますが、この曲線の方程式を導いてみます。 結果は双曲線関数の1つ を使って表されます。
高校時代にどこかで導出を読んだ覚えがあるんですが、その過程で積分方程式が出てきた気がしないので、別の導出方法(ここのものよりも簡単?)もあるかと思います。
準備
ひもの底を原点ひもの の部分に点
をとり、これを
とします。 また、ひもの
から
の部分(両端を含む)を
とします。
![f:id:waman:20170302114623p:plain](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/waman/20170302/20170302114623.png)
に対する微分方程式を立てる
ひもの一部 - 点
に水平方向のひもの張力
- 点
に接線方向上向きにひもの張力
の重心に鉛直下向きに重力
は
に無関係な定数です。
について、
における
の接線と
軸の正の部分とのなす角を
とすると、
の
成分、
成分はそれぞれ
となります。 また、この角度
と
は
で関係しています。 ただし、 は
微分を表します。
は
の長さを
, 線密度を
、重力加速度を
として
で与えられます。 ただし、 の長さ
は
と
で関係しています。
以上の結果を踏まえて、鉛直・水平方向の力の釣り合いの式より
となります。 を消去して
と
の式を使うと
定数をひとまとめにして とおくと、結局以下の積分方程式が得られます:
これを解くために、微分方程式に書き換えておきましょう。 両辺を で微分すると
概ね「積分方程式 = 微分方程式 + 境界条件」なので境界条件も出しておきましょう。 積分方程式で とおいて
を得ます。 また、積分方程式からは出てきませんが(
しか含んでいないので)、座標系の取り方から
も境界条件として課されます。 以上をまとめると
微分方程式を解く
では上記の微分方程式を解いていきましょう。
となります。 両辺を積分すると、左辺は(以下の は上記で定義した接線に関連する角度と同じですが、単なる置換積分の変数と思って問題ありません)
また、右辺は簡単に積分できて となるので
ただし、 と境界条件
より、
で
なので、積分定数は0になります。
さて、この関係式から を
で表しましょう。 まずは
について解くと
次に について解くために公式
(この公式についてはこちらなどを参照)を使うと
だったので、結局
。
を求めるためにさらに積分すると、境界条件
も課して
を得ます。