倭算数理研究所

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三角関数の公式を復習する (1) : 三角関数の定義と相互関係

今回から何回かに渡って、高校数学で出てくる三角関数の公式をオイラーの公式を使って定義・導出していきます。

  1. 三角関数の定義と相互関係
  2. 負の引数、純虚数の引数
  3. 三角関数の加法定理
  4. 倍角の公式
  5. 半角の公式
  6. 三倍角の公式
  7. 三角関数の合成
  8. 三角関数の積和の公式
  9. 三角関数の和積の公式
  10. 正接の加法定理
  11. 三角関数の微分
  12. 三角関数の積分
  13. 複素変数の三角関数
  14. 正弦・余弦の冪級数展開
  15. 正接・余接の冪級数展開
  16. 正接・余接の n 倍角の公式(発展)
  17. 余弦の n 倍角の公式(発展)
  18. 正弦の n 倍角の公式(発展)

定義

三角関数は、高校では直角三角形の辺の比として定義されますが、ここではオイラーの公式

  { \displaystyle\begin{align*}
    e^{i\theta} = \cos\theta + i \sin\theta
\end{align*}}

を使って定義します。 { i }虚数単位。 初っぱなから高校数学をはみ出すのは後ろめたいですが、三角関数双曲線関数との対応を見るにはこの形が一番いいのでご勘弁を。 双曲線関数の場合は単なる指数関数になるのでむしろ簡単になります。

で、三角関数の指数関数による定義はこちら:

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sin x &= \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{2i} & \textrm{(正弦)} \\
    \cos x &= \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{2} & \textrm{(余弦)} \\
    \tan x &= \frac{\sin x}{\cos x} = \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{e^{ix} + e^{-ix}} = \frac{e^{2ix} -1}{e^{2ix} + 1}
      & \textrm{(正接)}
\end{align*}}

高校では出てこない他の3つの三角関数も導入しておきましょう:

  { \displaystyle\begin{align*}
  \cot x &= \frac{1}{\tan x} & \textrm{(余接)}\\
  \sec x &= \frac{1}{\cos x} & \textrm{(正割)}\\
  \textrm{cosec}\,x &(= \csc x) = \frac{1}{\sin x} & \textrm{(余割)}\\
\end{align*}}

これらは、 { \sin^{-1} x \, (= \arcsin x) } などが三角関数逆関数を表すので、三角関数の逆数を簡単に表記できるように導入されています。 ただし、多用すると逆に分かりにくくなるので使用はほどほどにしておいた方がよいかと思います。 さて、これらの三角関数を指数関数で表すと以下のようになります:

  { \displaystyle\begin{align*}
    \cot x &= \frac{1}{\tan x} = \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{e^{ix} - e^{-ix}} = \frac{e^{2ix} + 1}{e^{2ix} -1} \\
    \sec x &= \frac{2}{e^{ix} + e^{-ix}} \\
    \textrm{cosec} x &= \frac{2i}{e^{ix} - e^{-ix}}
\end{align*}}

公式まとめ

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sin x &= \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{2i} \\
    \cos x &= \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{2} \\
    \tan x &= \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{e^{ix} + e^{-ix}} = \frac{e^{2ix} -1}{e^{2ix} + 1} \\[2mm]
    \cot x &= \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{e^{ix} - e^{-ix}} = \frac{e^{2ix} + 1}{e^{2ix} -1} \\
    \sec x &= \frac{2}{e^{ix} + e^{-ix}} \\
    \csc x &= \frac{2i}{e^{ix} - e^{-ix}}
\end{align*}}

相互の関係

ここでは高校数学で出てくる3つの三角関数  { \sin x,\,\cos x,\,\tan x } についての相互の関係を導きます。 他の3つの三角関数が関わる関係式も同様にして導けますが、特に有用なものはないかと思います。

{ \sin x }{ \cos x } の表式から

  { \displaystyle\begin{align*}
    \begin{cases}
        e^{ix} &= \cos x + i \sin x \\
        e^{-ix} &= \cos x - i \sin x
    \end{cases}
\end{align*}}

辺々を掛けると

  { \displaystyle\begin{align*}
    1 &= \left(\cos x + i \sin x\right)(\cos x - i \sin x) \\
       &= \cos^2 x + \sin^2 x
\end{align*}}

よって

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sin^2 x + \cos^2 x &= 1 & \cdots(1)
\end{align*}}

(1) 式の両辺を { \cos^2 x } で割ると

  { \displaystyle\begin{align*}
    \frac{\sin^2 x}{\cos^2 x} + \frac{\cos^2 x}{\cos^2 x} = \frac{1}{\cos^2 x} \\
    \therefore \tan^2 x + 1 = \frac{1}{\cos^2 x}
\end{align*}}

同様に (1) 式の両辺を { \sin^2 x } で割ると

  { \displaystyle\begin{align*}
    1 + \frac{1}{\tan^2 x} = \frac{1}{\sin^2 x}
\end{align*}}

公式まとめ

  { \displaystyle\begin{align*}
    \sin^2 x + \cos^2 x = 1 \\ 1 + \tan^2 x = \frac{1}{\cos^2 x} \\ 1 + \frac{1}{\tan^2 x} = \frac{1}{\sin^2 x}
\end{align*}}

上から順に

  • { \sin x }{ \cos x } の関係
  • { \cos x }{ \tan x } の関係
  • { \sin x }{ \tan x } の関係

となっています。

【追記】
 { \cot x,\,\sec x,\,\textrm{cosec}\,x } の定義と指数関数による表式を追記しました。

オイラーの公式がわかる (ブルーバックス)

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