高校数学ではオイラーの公式
は学習しませんが、それを使って三角関数の加法定理などを導く方法はよく知られていると思います。 この記事でもベタに加法定理や倍角の公式を導いてみます。
加法定理
まずは一番よく知られていて、また他の公式の基本になる三角関数の加法定理を導いてみましょう。 オイラーの公式より
が成り立ちます。 一方、左辺を指数法則(複素数の指数に対して指数法則が成り立つ証明は「指数関数の冪級数から指数法則を導く」を参照)によって変形し、さらに各因子にオイラーの公式を使ったりして変形していくと以下のようになります:
(1), (2) 式の実部、虚部を比べると、三角関数の加法定理を得ます:
余弦の加法定理に含まれている負符号はオイラーの公式に含まれている虚数単位 の2乗からくるのが分かります。 指数法則が使えるのもミソですね。
倍角の公式
次は倍角の公式。 加法定理からすぐに導けますが、これもオイラーの公式を使って導いてみましょう。 やり方は加法定理の場合と同じです。 まずオイラーの公式より
また、左辺を以下のように変形します:
(3), (4)式の実部、虚部を比べると
となります。 正弦の倍角の公式はクロスタームから、余弦の倍角の公式は各項の2乗からくるのが分かります。
三倍角の公式
次は三倍角の公式。 やはり導出方法は同じ。
左辺を以下のように変形:
(5), (6) 式の実部、虚部を比べて
三倍角の公式は覚えている人も多いでしょうけど、この方法なら頑張れば暗算で出せそうかも。
その他
こんな公式はどうでしょう?
左辺を以下のように変形:
(7), (8) 式の実部と虚部を比べて
オイラーの公式を知らなくても加法定理を何回か使えばこの公式を導けますが、オイラーの公式を使う方法ではやる気を出せば暗算できるレベルの式展開で導けます。 オイラーの公式バンザイ!