前回、ガリガリと計算して3次元での点と平面の距離の公式を導きましたが、まぁ、数学界でいうエレファントな解法って感じでした。 今回はちょっと高校数学の範囲をはみ出した解法をやってみます(目次)。 まぁ、ちょっと偏微分使うだけで、結局は力ずくなんですけどね。
問題設定
今回は、以前のベクトルを用いた導出とは異なり、点から平面に下ろした垂線の長さが(最小)距離を与えるという前提は置きません。 ということで、問題設定は「3次元空間において、原点と平面 との距離
を拘束条件
のもとで最小化する」となります。 拘束条件のある場合の極値問題はラグランジュの未定乗数法 (method of Lagrange multiplier) を使うのが定石ですが、それは次回に。 今回は拘束条件を使って変数を1つ消去して、通常の拘束条件がない極値問題として解きます。
また、距離として平方根が入っている式は計算が面倒になるので
から拘束条件によって z を消去した以下の関数の極値を考えることにします:
の定義を改めて書くと
です。 を変数としてこれを最小化します。
極値をとる座標
まず、 が極値をとる の値を求めましょう。 を それぞれで微分して
よって、x, y 方向に同時に極値をとるのは、以下の連立方程式
を解けば求まります。 これを解くと
を得ます。 ちなみに
より、 どちらの方向にも極小値(かつ最小値)をとることが分かります。
の値と距離
上記のとき、 の値は拘束条件より
このとき、
となって、原点と平面との距離を与える公式が得られました。
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