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倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

続・一般化された超幾何関数はどのくらい一般化されているのか? ~p=1~

特殊関数 岩波数学公式

前回に引き続き、いろいろな関数を一般化された超幾何関数で表してみましょう。 今回は { p=1 } の場合。 一般化された超幾何関数の定義は以下のようでした:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    F^p_q(\textbf{a};\,\textbf{b};\,z)
        &= \,_pF_q\left[\begin{matrix} a_1,a_2,\cdots,a_p \\ b_1,b_2,\cdots,b_q \end{matrix};\,z\right] \\
        &= \sum_{n=0}^\infty \frac{(a_1)_n(a_2)_n\cdots(a_p)_n}{(b_1)_n(b_2)_n\cdots(b_q)_n}\frac{z^n}{n!}
\end{align*}
}

また、以下のような等式も前回導きました。

  { \displaystyle
\begin{align*}
     n! &= (1)_n\\ (n+1)! &= (2)_n \\
    (2n-1)!! &= 2^n (\tfrac{1}{2})_n \\
    (2n)!! &= 2^n (1)_n \\
    (2n+1)!! &= 2^n (\tfrac{3}{2})_n \\
    (2n)! &= 2^{2n} (\tfrac{1}{2})_n(1)_n \\
    (2n+1)! &= 2^{2n} (1)_n(\tfrac{3}{2})_n
\end{align*}
}

これに加えて、後で使う似たような公式をいくつか:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    a+n &= \frac{(a)_{n+1}}{(a)_n} = \frac{a(a+1)_n}{(a)_n} \\
    (2n+1) &= \frac{(2n+1)!!}{(2n-1)!!} = \frac{(\tfrac{3}{2})_n}{(\tfrac{1}{2})_n}
\end{align*}
}

{ p = 1 } の場合の概要

{ p=1 } の場合は幾何級数 ({ q=0 }) と合流型超幾何関数 ({ q=1 }) の場合が含まれます。

  • { q=0 }
  • { q=1 }
    • 合流型超幾何関数 { F(a,\,c;\,z) }
    • 不完全ガンマ関数 { \gamma(a,\, z) }
    • 誤差関数 { \textrm{erf}(z) }
  • { q=2 }

直交多項式にも { p=1 } に含まれる場合がありますが、今回は扱いません。 もしかしたら後日まとめてやるかも。 やらないかも。

{ q = 0 }

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{1}{(1-z)^\alpha}
        = \sum_{n=0}^\infty \frac{(\alpha)_n}{n!}z^n
        = F^1_0(\alpha ; ;\,z)
\end{align*}
}

特に { \alpha = 1 } のとき

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \frac{1}{1-z} = \sum_{n=0}^\infty z^n = F^1_0(1;;z)
\end{align*}
}

これは幾何級数(等比級数 geometric series)です。

{ q = 1 }

合流型超幾何関数 (confluent hypergeometric function) { F(a,\,c;\,z) }
{ p=1,\,q=1 } の場合は合流型超幾何関数になります。 合流型超幾何関数については「合流型超幾何微分方程式の級数解を求めてみる。 もちろんそれは合流型超幾何関数になる。」を参照。

  { \displaystyle
\begin{align*}
    F(a,\,c;\,z)
        = \sum_{n=0}^\infty \frac{(a)_n}{(c)_n}\frac{z^n}{n!}
        = F^1_1(a;\,c;\,z)
\end{align*}
}

{ p=1,\,q=1 } の場合の他の関数も合流型超幾何関数で書けます。 また、そうします。

不完全ガンマ関数 (incomplete gamma function) { \gamma (a,\,z) }
不完全ガンマ関数の定義は

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \gamma (a,\,z) = \int_0^z e^{-t}t^{a-1}dt
\end{align*}
}

で与えられます。 ガンマ関数(「とあるガンマ関数の公式目録」参照)の積分範囲を「不完全」にしたものですね。 級数表示にすると合流型超幾何関数を用いて表すことができます:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \gamma(a,\,z)
        &= \int_0^z \left\{\sum_{n=0}^\infty \frac{(-t)^n}{n!}\right\} t^{a-1}dt
          = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)}{n!}\int_0^z t^{a+n-1}dt \\
        &= \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n z^{a+n}}{n!(a+n)}
          = z^a\sum_{n=0}^\infty \frac{(a)_n}{a(a+1)_n}\frac{(-z)^n}{n!}
          = \frac{z^a}{a} \sum_{n=0}^\infty \frac{(a)_n}{(a+1)_n}\frac{(-z)^n}{n!} \\
        &= \frac{z^a}{a} F(a,\,a+1;\,z)
\end{align*}
}

誤差関数 (error function) { \textrm{erf}(z) }
誤差関数 { \textrm{erf}(z) } の定義と不完全ガンマ関数との関係はそれぞれ以下で与えられます:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \textrm{erf}(z)
        = \int_0^z e^{-t^2}dt
        = \tfrac{1}{2}\gamma (\tfrac{1}{2},\,z^2)
\end{align*}
}

上記で導いた不完全ガンマ関数の合流型超幾何関数による表示を使えば、誤差関数を合流型超幾何関数で書くことは簡単:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \textrm{erf}(z) = z F(\tfrac{1}{2},\,\tfrac{3}{2};\,-z^2)
\end{align*}
}

{ q = 2 }

正弦積分関数 (sine integral) { \textrm{Si}(z) }
正弦積分関数 { \textrm{Si}(z) } の定義は

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \textrm{Si}(z) = \int_0^z \frac{\sin t}{t}dt
\end{align*}
}

正弦積分関数は級数に書き換えてから一般化された超幾何関数で表すことができます:

  { \displaystyle
\begin{align*}
    \textrm{Si}(z)
        &= \int_0^z \left(\sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n+1)!}t^{2n}\right) dt
          = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n+1)!(2n+1)}z^{2n+1} \\
        &= z\sum_{n=0}^\infty \frac{(\tfrac{1}{2})_n}{2^{2n}\left\{(\tfrac{3}{2})_n\right\}^2 n!}\left(-z^2\right)^n
          = z\sum_{n=0}^\infty \frac{(\tfrac{1}{2})_n}{\left\{(\tfrac{3}{2})_n\right\}^2}\frac{\left(-\frac{z^2}{4}\right)^2}{n!} \\
        &= z F^1_2(\tfrac{1}{2};\,\tfrac{3}{2},\,\tfrac{3}{2};\,-\tfrac{z^2}{4})
\end{align*}
}

余弦積分関数は { p=2,\,q=3 } の場合なので今回はやりません。

特殊函数 (岩波 数学公式 3)

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基礎物理数学第4版Vol.3 特殊関数 (KS理工学専門書)

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