特殊関数の公式を証明していくシリーズ(目次)。 前々回、前回に合流型超幾何関数と超幾何関数を見ましたが、その勢いで一般化された超幾何関数 (generalized hypergeometric function) もいってみましょう。
参考
- wikipedia:超幾何級数
- Wolfram Math World 「Generalized Hypergeometric Function」
- Wolfram Math World 「Generalized Hypergeometric Differential Equation」
定義
合流型超幾何関数 、超幾何関数 の定義はそれぞれ
でした。 ポッホハマー記号も復習しておきましょう:
さて、これらを踏まえて一般化された超幾何関数を以下で定義しましょう:
関数記号として
が使われることもあります。 なんか一般化しすぎじゃんw 書くのだけでしんどい・・・ あまりにも書くのが面倒なので、この記事では(物理学でベクトルを表すように)文字の組を太字にし、添字の の位置も変えて
と表すことにします。 ベクトルと違って組の個数が出現箇所によって異なるので注意。
微分方程式
一般化された超幾何関数は、Wolfram Math World 「Generalized Hypergeometric Differential Equation」によると、以下の一般化された超幾何微分方程式を満たすそうです。 微分が偏微分になっているのは、一般化された超幾何関数にとっては も変数だからでしょう。 演算子についても積の記号 を用いると
という風になります。 じゃあ、確かめて見ましょうか。
一般化された超幾何微分方程式を満たすことの証明
まず、微分演算子 の の冪に対する作用を確認しておきましょう:
まぁ、確認するほどのものでもないですが。 小難しく言えば、微分演算子 に関して が固有値で それに属する固有関数だってだけですね。 さてこれを踏まえて、一般化された超幾何関数の、級数の各項
(係数はともかく、これらは単なる です)に一般化された超幾何微分方程式に現れている微分演算子がそれぞれどのように作用するのかを見ていきましょう:
記号がゴチャゴチャしてるので難しそうに見えますが、大したことはしてません。 これを踏まえて (*) 式の両辺を変形すると
よって両辺が等しくなり、一般化された超幾何関数が一般化された超幾何微分方程式 (*) を満たすことが分かりました。
合流型超幾何関数と超幾何関数と一般化された超幾何関数と
では、一般化された超幾何関数を使って、合流型超幾何関数 、超幾何関数 などを表してみましょう。 まぁ、そのままですけどね。合流型超幾何関数
まずは合流型超幾何関数。
このときの一般化された超幾何微分方程式は
となって、合流型超幾何微分方程式になりました。
超幾何関数
次は(Gauss の)超幾何関数:
一般化された超幾何微分方程式は
よしよし、超幾何微分方程式になったなった。
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