の関数 に対して、次の非斉次の線形微分方程式
を考えます。 ここで
です。 は入れないことも多いですが、物理学では右辺に負符号を入れる場合があるので、少し一般化して を導入しています。 以下で、こういう類の微分方程式を解く際に用いられる Green (グリーン)関数の方法を見ていきます。
Green 関数の定義
Green 関数は以下の非斉次微分方程式を満たす関数 として定義されます:右辺が Dirac (ディラック)のデルタ関数になっています。 この Green 関数を用いて、(*) 式の特殊解は
で与えられます。 積分範囲は から です(以下同様)。 実際、この に微分演算子を作用させると
となり、(*) 式を満たすことが分かります。 ちなみに
を使ってます。
Fourier 変換で Green 関数を求める
(1) 式を満たす Green 関数 は、よく Fourier (フーリエ)変換を用いて解かれます。 ここではある程度一般的に Fourier 変換を用いた解法を見ていきましょう。 まず を Fourier 積分で書きます:
最後の行の は線形演算子ではなく、単なる の多項式です。 また、デルタ関数を Fourier 積分で書くと
となるので、結局、Green 関数が満たすべき微分方程式 (1) は
となります。 ここで、両辺に をかけて について積分し、直交関係
を使うと( を改めて と置き換えて)
を得ます。 この結果を (2) 式に代入すると、 は以下のような Fourier 積分で表されることが分かります:
具体例
あまりキチンとは解きませんが、少し具体的な例を見てみましょう。 電荷分布 が与えられたときに静電ポテンシャル が満たすべき方程式は、以下のような Poisson (ポアソン)方程式で与えられます。 ここでは3次元だとして上記の理論(1次元でしたが、適当に次元を上げて)との対応関係を考えると
のようになります。 は に含めずに、Green 関数から静電ポテンシャルを計算する際に入れる慣習です。 このとき
となるので、この Poisson 方程式の Green 関数 は
で与えられます。 この積分はさらに計算する必要がありますが、それは後日に。 この Green 関数を用いて、電荷分布 が与えられたときの静電ポテンシャル は
と計算されます。