ラプラシアンの極座標表示を求めるシリーズ(目次)。 今回は計量テンソルを使って3次元のラプラシアンの極座標表示を求めてみます。
3次元の極座標は以下のように定められていました:
また、後のために位置ベクトル と変位ベクトル を以下のように決めます:
位置ベクトルを微分すれば変位ベクトルが得られ、変位ベクトル(の2乗)から計量テンソルを求められます。 変位ベクトルを普通に計算してもいいんですが結構面倒なので、まず極座標の基底を導入します。
極座標の基底
3次元極座標の基底を以下のように取りましょう:
これらは正規直交基底をなします。 つまり、それぞれの基底ベクトルは長さが1で、互いに直交しています:
このとき、上記で定めた位置ベクトルの、極座標による微分は以下のようになります:
計量テンソル
極座標の計量テンソルを求めるために、まず変位ベクトルを極座標で表しましょう:
これを用いて変異ベクトルの2乗 を計算すると
となります。 よって計量テンソル は以下のようになります:
ヤコビアンの計算
以上の結果を用いてヤコビアンの極座標表示を計算しましょう。 前回の最初に書き下した公式より、3次元のラプラシアンは
で与えられます。 ここで各 の表式は、上記の結果より
となるので、これをラプラシアンの表式に入れて計算すると
となり、以前の結果が得られました。