前回見た、部分分数に分解して計算する級数の双対性をちょっと一般化してみましょう。 を任意の関数(正の自然数値で発散とかしない)、 を整数として、以下の関数を考えます:
前回見た級数は
としたものから導くことができます(そのままではないけど、これは後ほど)。 部分分数に分解するとかは本質ではないです。
まぁ、双対性の導出は特に変わったことはしません:
下線は他の項と打ち消しあう項につけてます。 結果として
を得ます。 上記の導出で、項を沢山書いている途中式は の場合に成り立ちますが、 の場合は上式の右辺に同様のことを行って左辺を導けるので、全ての に対して上式は成り立ちます。
ちなみに左辺では は定義されていませんが、このときも無理矢理等号が成り立つと仮定すると、右辺で として結果は0になると思うのが自然なようです。
具体例
では具体例をいくつか。 すべて、高校数学で出てくる級数です。 まずはすでに扱った級数。例1
とします。 のとき
よって
同様に のとき
また
なので、結局
を得ます。
例2
次はの場合。 やはりまずは のとき。
最後の「分子の有理化」は特に必要ありません。 ちょっとやってみただけ(分子に という因子を出したかったというのもありますが)。 よって
同様に の場合は
ここでは「分子の有理化」はやめときましょう。 結果をまとめると
一般の の場合は
このままだと大してなんてことはないので、両辺の分子を有理化して
よって
やはり、右辺に という因子が現れます。
例3
最後の例は、また分数に戻ってという関数を考えます。 このとき と思って双対性を使うと
また、左辺の各項は通分すると
となるので、結局以下を得ます:
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