倭算数理研究所

科学・数学・学習関連の記事を、「倭マン日記」とは別に書いていくのだ!

指数法則と指数関数では底に課される制限が違うよ

ちょっと高校の頃にはあやふやだったなぁという回顧のエントリ。 指数法則や指数関数を考えるときに、底にどのような制限がつくかを整理してみます。 この記事中では、特に断らない限り自然数に0を含めます。1以上の自然数の指数 を実数、 を1以上の自然数と…

順列の辞書順序による番号付け ~階乗進法編~

Scala で『Java によるアルゴリズム事典』のコードを書き換えてみようシリーズ(目次)。 今回は順列に辞書順序で番号を付けたとき、与えられた順列とその番号との相互の変換を考えます。 ただし番号は Int などの通常の整数値ではなく、階乗進法で表された…

階乗進法

Scala で『Java によるアルゴリズム事典』のコードを書き換えてみようシリーズ(目次)。 今回は、階乗進法 (factorial representation) という数の表し方を見ていきます。階乗進法10進法が10を基数にしている、つまり10の累乗の級数で表されるのに対して、…

次の順列

Scala で『Java によるアルゴリズム事典』のコードを書き換えてみようシリーズ(目次)。 以前に置換のアルゴリズムを扱ったときに、『Java によるアルゴリズム事典』に「置換の生成」がなくておかしいなぁと思ってたら、「順列」「順列の生成」の項目にある…

チェックサムと ISBN 番号

Scala で『Java によるアルゴリズム事典』のコードを書き換えてみようシリーズ(目次)。 『Java によるアルゴリズム事典』で、関数型プログラミングで書きやすそうなアルゴリズムがあったので Scala で書いてみた。 今回は、データに誤りが無いかチェックす…

全置換の生成

『Java によるアルゴリズム事典』には載ってなかったんですが、n 個のモノの全置換を生成するコードを見ていきます(目次)。Scala では List などの順序付きのコレクション(正確には scala.collection.SeqLike トレイトのサブ型)では permutations() メソ…

置換の符号

Scala で『Java によるアルゴリズム事典』のコードを書き換えてみようシリーズ(目次)。 今回は指定された置換の符号を計算するアルゴリズム。 ここでは Java や Scala のコードで扱い易くするため、n 個の置換は1から n の整数ではなく、0から n-1 の整数…

Scala アルゴリズム事典

『Java によるアルゴリズム事典』に載ってるコードを Scala かつ再帰(できる限り末尾再帰)で書いていこうシリーズ。 と言っても、他のことで使うコードでこの本に載ってるアルゴリズムを使うときに記事更新するので、たまにしか記事書かないと思います。数…

高校数学で線型代数入門(番外編) ~行列式はどこからきたのか~

高校数学で線型代数(というか行列)をやってみようシリーズ(目次)。 次は行列式をやる予定なのですが、ベクトル(座標)の変換と行列式がどう関係しているかを導こうと思ってたらかなり長い記事になりそうだったので番外編として別に書くことにしました。…

高校数学で線型代数入門 (2) ~行列の演算~

高校数学で線型代数(というか行列)をやってみようシリーズ(目次)。 前回はベクトル(座標)の変換から行列を導入しましたが、今回はその行列に対して定義される和や積などの演算を見ていきます。この記事の内容 この記事の内容 参考 合成変換と行列の積 …

高校数学で線型代数入門 (1) ~行列の定義~

前回、軌跡を使ってグラフを回転する方法を見ましたが、ここまできたら行列を使わないのは逆に不自然な気もするので、簡単に行列(線型代数)に入門してみましょう。 数学的にあんまり(というかまったく)厳密ではないので、詳しくは専門書を参照のこと。シ…

グラフの回転を軌跡で理解する

数年前から高校数学で行列をやらなくなってグラフの回転ができなくなるなぁと思ってたんだけど*1、軌跡の問題だと思えば(言い張れば)今の高校数学の範囲内でグラフの回転を行うことができそうなので、実際にやってみます。 この記事内では回転は原点の周り…

グラフの平行移動を軌跡で理解する

数学Iで頂点が原点でない2次関数をやる際にグラフの平行移動をやりますが、どんなグラフに対しても使える平行移動の仕方はきちんとやろうとすると数学IIで習う軌跡を使った説明が必要かと思います(必ずしも軌跡を使わなければいけないというわけではなく、…

ベクトル解析の公式あれこれ ~微分編~

前回のベクトルの公式に続いて、今回はベクトル解析(ベクトルを微分・積分する)の公式をいくつか紹介 & 証明。 今回扱うのは微分のみ。参考 『理論電磁気学』 『解析入門 (2) 基礎数学 3』 準備 をスカラー場とし、 をベクトル場とする。 その他の記法や公…

ベクトルの公式あれこれ ~大学編~

大学の理系学部初期に線型代数や物理数学で出てくるベクトルの公式をいくつか紹介 & 証明参考 『理論電磁気学』 『齋藤正彦線型代数学』 準備ここでは3次元のベクトルのみを扱い太字で書きます。 成分を書き下す場合は縦ベクトルとして書きます: ベクトルの…

角運動量演算子の交換関係 ~まとめて計算編~

前回、角運動量演算子の交換関係を導きましたが、実質的に計算したのは の2つだけでした。 まぁ、別にそれでも問題ないんですが、この記事ではベクトルの各成分を添字で区別して、一般的に成分の交換関係を計算してみます。 前回導いた交換関係に関する公式…

角運動量演算子の交換関係

『超対称性理論とは何か 宇宙をつかさどる究極の対称性 (ブルーバックス)』の付録に角運動量演算子の交換関係の例題(?)が載ってたのでガリガリと導いてみることにします。 記事にしとけば、毎年齷齪(あくせく)した学生がアクセスしてくれるんじゃないかと…

正八面体の計量

今回は正八面体の表面積、体積等を求めていきす。 このあたりまでは高校レベルの数学で解けますね。 導出の都合上、今までと求める量の順番を変えてます。 幾何学的対象の個数等 内接球・辺に接する球・外接球の半径 表面積 体積 隣り合う2つの面のなす角 一…

正六面体(立方体)の計量

今回は正六面体(立方体)の表面積や体積など。 5つの正多面体の中で一番簡単。 粛々といきましょう。 幾何学的対象の個数等 隣り合う2つの面のなす角 表面積・体積 内接球・辺に接する球・外接球の半径 一辺の長さを とし、以下のように頂点に名前を付けて…

正四面体の計量

目的は正十二面体、正二十面体の体積を求めることなんですが、ちょっと準備運動として正四面体、正六面体(立方体)、正八面体の体積等を求めていきす。 幾何学的対象の個数等 隣り合う2つの面のなす角 表面積 体積 内接球・辺に接する球・外接球の半径 一辺…

正多角形の内接円の半径

前回、一辺の長さが の正多角形の面積を求めました。 そのとき、ついでに重心と頂点との交点との距離 も求めましたが、これはこの正多角形の外接円の半径ともなってました。 今回は同じ正多角形の内接円の半径 を求めます*1。方法その1上図より、直角三角形 …

正多角形の面積

正多角形の面積を求めます。 高校数学の問題集に載ってるレベルの問題です。正 角形の1辺の長さを 、重心(正 角形の外心と一致する) O と頂点の距離を (これは外接円の半径でもある)とします: 図中の点 A, B は正 角形の隣り合う頂点、点 M は辺 AB の…

36°の三角比

ちょっと後日使うので36°の三角比の値を求めてみます。 高校数学レベルの問題。 ここでは正五角形を使って図形的に求める幾何学的方法と、36°が満たす三角方程式を解く代数的方法代を見ていきます。幾何学的方法1辺の長さが1の正五角形を考えます。 対角線の…

完全順列の一般項を導く

高校数学でもちらっと出てくる完全順列 (Derangement wikipedia:完全順列 ) の総数を導いてみます。 完全順列の定義は Wikipedia でも見てもらうことにして、イメージは「プレゼントを1人1個もちよってプレゼント交換したとき、全員が自分のプレゼントが当た…

spire (Scala) での円周率の計算 Machin (マチン)の公式

spire という Scala 用の数学ライブラリがあるんですが、そのコードで円周率の値を計算をするために Machin (マチン)の公式というのを使ってたので、その公式が正しいことを計算で確かめてみます。Machin の公式は で与えられます。 は逆正接関数で、これ…

回転しているようにみえる白いドットは単振動している

最近ちょっと話題になっている動画 このくるくる回る白いドット、実は真っ直ぐ往復してるだけなんだぜ 面白錯視?回転しているように見える白いドット。でも実は・・・ が面白かったのでちょっと数学使ってイジってみました。 白いドットひとつひとつは直線…

2次元ベクトルの分解

任意の2次元ベクトルをいくつかの基底(正規直交基底、、直交基底、斜交基底?)に分解する公式を導いてみます。 正規直交基底への分解 直交基底への分解 任意の2つのベクトルへの分解(斜交座標系) 基底ベクトル 任意のベクトルの分解 が直交するときは・…

2次元で「平行移動 + 回転 = 回転」も示しておくよ

前回に「回転の後に平行移動を施すと、別の点の周りの回転になる」ことを示しました。 今回は先に平行移動して、その後に回転を施した場合にも、別の点の周りの回転になることを示します。 また、その回転の中心も求めます。「平行移動 + 回転 = 回転」の証…

2次元で「回転 + 平行移動 = 回転」は容易に分かる?

『統計物理学 下 第3版』の「第13章 結晶の対称性」を読んでいて「ん?」と思ったんだけど、3次元の結晶に関して ある角度だけの回転とそれに続く回転軸に垂直な方向への平行移動は、容易にわかるように、最初の軸に平行な他の軸のまわりの同じ角度だけの単…

「2つのボールをぶつけると円周率がわかる」のをしつこく確かめてみた・・・解析的に

前回の記事「「2つのボールをぶつけると円周率がわかる」らしいのでシミュレーションしてみた」の続き。 この記事では、衝突回数が円周率(の適当に桁をズラした値)になることを解析的に導いてみます。 大人になってからの再学習 『2つのボールをぶつけると…